249 バラバラなチーム ページ19
定刻になると、エルドラドメンバーはぞろぞろと現れる。しかし、ベータとガンマは悪びれもなく遅刻した。そんな彼らに対し、キャプテンの拓人くんが厳しく指摘する。
「集合時間は過ぎているぞ」
「ごめんなさぁい。支度が遅れちゃったんです」
「大して練習もしないのに、真面目に来たってしょうがないだろう？」
拓人くんの眉がピクリと動いた。アルファは彼らに対して否定的な意見を示し、アルファに忠実なエイナムはフッと小さく笑う。その笑みには嘲笑が含まれていた。
「NO。時間は守るべきだ」
「その通りだ。お前たちはただ怠けているだけだろう」
エイナムの言葉が気に入らなかったらしく、ベータは頬を膨らませる。
「もう、そんなこと言って。いつからそんなに偉くなっちゃったんですか？」
「ボクはこのチームの中で一番強い。必死で練習すべきなのはキミたちの方だ」
「私はムゲン牢獄で度重なる厳しい訓練を経験し、強くなった。既にそのタスクは終わらせている」
結果として、拓人くんの一言がきっかけとなり、なぜかアルファ・ベータ・ガンマの口論が始まった。ベータはガンマの一言にいちいち噛みつき、ガンマは火に油を注ぐようなことを言う。アルファは冷静で真面目だけど、融通が利かない。練習が始まってからも、エルドラドメンバーは好き勝手に動いた。
「ベータ！アルファにパスだ！」
ベータはそっぽを向いて軽やかにドリブルしている。皆の意識がバラバラで、歯車が噛み合っていない。まともな練習の状況ではなかった。自然と雷門メンバーだけで集まる。倉間くんは眉を潜めた。
「どうする神童。あいつらは協力する気なんてさらさらないぜ」
「あったまくるド...」
「仕方ない。俺たちだけで練習するぞ」
士気の低い中、雷門メンバーの中でも連携の調子が悪かった。パスが上手く通らない。すべてが悪循環だ。監督のサカマキは不在。大事なものを賭けた試合だというのに、流石に無責任ではないか。
「...」
結局、選手各々が個人練習をすることになった。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年3月4日 12時
