桜前線 6【イナクロ】 (ページ17)

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早速練習が始まる。練習が始まった途端にアルファ、ベータ、ガンマが好き勝手にプレーし始めた。そんな様子に激怒する天城先輩に対し、ガンマは飄々と告げた。

「この際だからハッキリ言っておくけど、ボクにはキミたちと一緒に戦うつもりなんか、これっぽっちもない」

ガンマは「それぞれ好きにプレーしようよ」とまるで責任感がなく、アルファはムゲン牢獄での再教育を乗り越えた自分に自信を持ち、ベータも自分だけが能力が高いとハッキリと言い切った。マウント合戦が始まる。出る杭を打ち合うような環境だ。他のエルドラドメンバーはそれぞれアルファ、ベータ、ガンマに従う意識が強い。このバラバラなチームのキャプテンを任された拓人くんにとっては荷が重いだろう。重すぎる。

ドンッ！！！

与えられた個室で雷門出身メンバーが集まるなり、天城先輩が壁を叩いた。

「こんなチームやってられないド！！あいつらがいるなら、俺は降りるド！！」
「天城さん...」
「まー、そーっすよねー。俺もついていけないです」
「あいつら、好き勝手やるからな」

狩屋や倉間くんもエルドラド出身メンバーに対して呆れていた。そんな様子を見て、拓人くんはその目に困惑を抱えている。拓人くんはこのてんでバラバラなチームをまとめる義務があるのだ。天城先輩と倉間くんが出ていく中、彼らを止めることができずにいた。

「...二人とも。夜の練習をやろうと思うんだけど、ついてきてくれるか」

拓人くんの控えめな誘いを受け、私と狩屋は頷いた。拓人くんは夜の練習を始めるまでは、一人で戦略を考えるらしい。私と狩屋は個室から出て、廊下を歩いた。

「最悪な雰囲気っスねー。天馬くんたちは上手くやってんのかな」
「どうだろう。そうだといいんだけど」

3チームの使用可能区域は分けられているので、他チームの仲間には接触することができない。完全にチーム内でしか交流できない仕組みとなっている。それぞれ自分の個室へと戻り、束の間の休息をとった。