242 物語の世界へ ページ12
ハッとして周囲を見渡すと、王室のような場所にいた。一瞬、現実世界に戻ったのかと勘違いしたけど、どうやらここはそうではないらしい。ぼんやりと惚けていると、扉が開かれた。その先には拓人くんがいた。
「たっくん！」
「ここはアーサー王の世界で間違いなさそうだ」
「その格好は...」
「俺は騎士団長らしい。皆、それぞれ役割を与えられた登場人物なんだ。そして、Aはアーサー王の娘・メローラ姫だ」
「ひ、姫ぇ！？そんな柄じゃないんだけどな」
その時、圧倒的なオーラを放つ男性が現れた。拓人くんがこそっと耳打ちする。
「アーサー王だ」
「あの人が...」
あの姿を絵本で見た気がする。アーサー王はこちらに視線を向けて言った。
「メローラ、準備をしなさい」
「は。はい」
入団テストの開幕前、アーサー王に続いて前へ出た。グラウンドを見ると、そこには天馬たちがいた。よかった、みんな同じ世界に辿り着いたみらい。見習い騎士役の天馬とフェイ、そして従者役のワンダバ。騎士団役のみんな。サッカーの試合が始まり、アーサー王の一声によって試合は幕を閉じた。入団テストの結果は、合格。天馬とフェイは無事に騎士団へ入団することとなった。華々しい始まりだったが、突如悪天候に見舞われる。雷鳴が轟いた。雲の隙間からドラゴンが降りてきた。
「マスタードラゴン...！」
あれがマスタードラゴンなのか。ドラゴンの上には人が乗っている。そのドラゴンはアーサー王を攻撃してきた。すると、即座に拓人くん率いる円卓の騎士団が守りに入った。
「我ら円卓の騎士、アーサー王をお守りいたします！」
ドラゴンによって連れ去られそうになった時、円卓の騎士の一人である黄名子が身代わりとなり、マスタードラゴンによって連れて行かれてしまった。黄名子は嘆きの洞窟に囚われてしまったらしく、円卓の騎士はその場所へ向かうこととなった。
メローラ姫はこれからどういう行動をするのだったか。絵本をちゃんと読んでいなかったので、メローラ姫の役割がわからない。近くに大介さんのクロノストーンがいたので、密かに聞いてみた。
「あの...大介さん。メローラ姫ってこれから何するんでしたっけ」
「なんだ。ちゃんと読んでいなかったのか！仕方ない、教えてやろう...アーサー王と円卓の騎士が黄名子を助けに行こうとする時、メローラ姫が自分もお供すると言うのじゃ」
「なるほど。わかりました」
物語の流れを正しく進めるために、役割を全うすることにした。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年3月4日 12時
