桜前線 6【イナクロ】 (ページ11)

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241　次の旅についてページ11

「次のターゲットはズバリ、アーサー王とマスタードラゴンだ！」

大介さんがトンガットル共和国で入院していた時、隣の病室の子供が『アーサー王と見習い騎士』の絵本を持っていた。それを読み聞かせるつもりが、お話があまりにも面白かったので、大介さんの方がすっかり夢中になってしまったという。今回はその物語の世界へタイムジャンプし、アーサー王とマスタードラゴンからオーラを得るという。

アーサー王伝説といえば、アングロサクソン人の侵略と戦ったケルト人の伝説として受け継がれ、今でも世界中の人々に読まれている物語だ。

「え、でも物語の世界ですよね？そこへタイムジャンプするのは無理があるんじゃ...」
「そうとも限らんぞ！」
「アルノ博士！」

神出鬼没の博士が登場した。彼は大介さんの着目点を先進的だとして高く評価した。

「パラレルワールドとは可能性の世界。何が起きても不思議ではない世界なのじゃ！」
「何を言っとるぜよ...」
「本来の歴史に存在しなかった道でも、その道を作り出せるアーティファクトがあれば、新たなパラレルワールドが生まれるかもしれない」
「なるほど...。架空の御伽噺だったとしても、その歴史の流れを生み出すことのできる何かがあれば、その世界にタイムジャンプできるということですよね」
「流石神童くん！呑みこみが早いッ！」
「つまり、物語の世界がパラレルワールドとして生み出される...」

物語の世界に行ける可能性があるとして、アーティファクトはどうするのかという疑問が湧く。そんな時、黄名子が手を高く上げた。彼女にはお金持ちの知り合いがいるらしく、その人からならアーサー王の王冠を借りれるかもしれないという。黄名子が席を立って離脱した後、隣の席の太陽くんと共に絵本をペラペラと捲り、主なストーリーを把握した。

「アーサー王の世界かぁ」
「この世界に入れるなんて面白いね」
「ね！ほんと」

一通り読み終わると、前の席の倉間くんに本を回した。彼は受け取って、速水くんや浜ちゃんと読んでいる。

しばらくしてから、彼女が持ってきた王冠をキャラバンにセットして、早速出発することとなった。ワームホールに入ると、突然アラームが鳴り響いた。時空の迷い子となった私たちは悲鳴を上げて混乱する。

意識が途切れた後、目を覚ますと別世界にいた。