143 旧部室にて ページ10
一度で内容を把握するのはなかなか難しいけど、大体の流れはわかった。未来で戦争が起きているというのが少し気になるけど、まずは彼らの関係を知りたくなった。
「ところで、天馬とフェイさんはどういう関係なの？」
「僕は天馬と同じく、サッカーを必要としている者さ」
そして、フェイさんは続けて言った。
「自己紹介が遅れたね。僕はフェイ・ルーン。気軽にフェイって呼んで」
「わかった。それで、...あの動くぬいぐるみは？」
「ワンダバって言うんだ。僕の友達さ。僕たちは200年後の未来から来たんだ」
「200年後!? 未来人ってこと？」
「うん。そうだよ」
「えっと、今この時代にとって200年後っていう認識でいいのかな」
「そう！」
外でフェイと話をしている間に、天馬が何かを見つけたようだ。木の板を持って上に掲げている。
「これは？」
「昔の雷門中サッカー部の看板です。あれっ、でも壊れてない。剣城が割ったはずなんだけど」
「えっ、剣城が？」
「入学式の時、剣城がサッカー部を乗っ取ろうとして、ボコボコにされたことがあったんです。その時この看板は割れたはずなんだけど...」
「奴らによって雷門中サッカー部の存在は消滅している。だから、その剣城くんが看板を割った出来事はなくなっているということだと思うよ」
「なるほど」
「つまり、歴史の変更が定着しつつあるんだ。これは急がないといけないな」
フェイは深刻そうな顔をしていた。その深刻さがどの程度なのか、理解することはできなかった。
「その看板をどう使うの？」
「ある時間にタイムジャンプするには、道標が必要なんだ。僕らはそれをアーティファクトと呼んでいる。その時間、その場所にいた者の強い思いが詰まった物でなければいけない。それがないと、ワームホールの出口を検出できず、タイムジャンプは失敗するんだ」
「そうなんだ」
タイムジャンプに失敗したら、どうなるんだろう。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
