142 現れた希望 ページ9
天馬がアルファに連れ去られてしまった。もしかして、拓人くんのように過去へ戻り、サッカーへの情熱を失わされるのかな。しかも、アルファの言うことが本当なら、サッカーを覚えているのは天馬と私だけ。となると、天馬からサッカーが奪われたら、今度こそ私しか覚えていないことになる。そうなると、とうとう一人ぼっちだ。それに、いつアルファから襲撃を受けるかわからない。困ったことになった。これからどうなっちゃうんだろう。
不安を抱えながら、毎日登校した。そんなある日、雷門中の校門に入った先で再び天馬を見かけた。こんな朝早くから何してるんだろう。物を持ち運んでいるみたい。
「...？」
覗き込むと、すごい埃で咽せた。その先には、他にも誰かいた。
「天馬？」
すると、見知らぬ少年はこちらへ振り向いた。
「天馬、誰かが呼んでるよ。知ってる人？」
「あっ！先輩！」
彼は作業を中断して駆け寄ってきた。その拍子に更に埃が宙を舞う。
「ゲホゲホ！！先輩！無事だったんですね！」
「ケホッ、ちょ、それ以上動かないで、埃舞ってる」
「す、すみません！」
「何やってるの？」
「アーティファクトを探してるんです！」
「アーティファクト？」
話を聞くと、天馬の隣にいる人は最近知り合ったらしく、サッカーを共に取り戻そうとする人らしい。一体何の話かチンプンカンプンだけど、とりあえず話を聞くことにした。
「えーっと。話を時系列順にまとめると、天馬がアルファに連れ去られた後、天馬がサッカーに救われた日が変えられようとして、でも必死に拒んで、途中でアルファとの試合が始まって、フェイさんが現れて、ワンダバさんが現れて、途中でアルファが帰ったと...。」
「そうなんです。異次元のスピードでパスし合っていたり、化身アームドとかミキシマックスっていうのがあったり、あっ、未来で戦争が起きてるっていう話も聞きました」
「ちょー...っと待って。情報量が多すぎてついていけない。で、アルファが帰った後、何がどうなって今に至るの？」
「僕が説明するよ。試合が終わった後、天馬は雷門中サッカー部を取り戻したいと言った。それを実行するためには、サッカー部が生まれた時点に歴史を遡り、歴史を修正しなくちゃいけない。時代を遡るには、アーティファクトが必要なんだ。僕たちは今、そのアーティファクトを探しているという訳さ」
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
