桜前線 4【イナクロ】 (ページ47)

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180　利用できるものは利用し尽くすページ47

覇者の聖典の保護システムは解除できたが、センサーは解除されない。その時、天馬がセンサーに向かって飛び出した。

「...！」
「すごい、避けてる」

まるでドリブルしているようだ。そのスキルがここで活かせるとは。天馬は覇者の聖典を回収してセンサーを避けて戻ってくるが、彼の手から本が滑り落ちた。それがセンサーに引っかかり、途端に警報機が鳴った。

「しまった...逃げるぞ！」

逃げた先にはロボット。私たちは躱し続けた。ロボットから発された電磁波攻撃によって、錦くんが倒れてしまう。あのロボット、電磁波で錦くんを鈍らせてから捕獲しようとしてる。

「うっ...」

先ほどの人間梯子の土台の疲れが出たか。動きが鈍っているのは錦くんだけではない。みんなも同様だ。

辺りを見回す。サッカー記念博物館には、様々な種類のサッカーボールが展示されている。私はその中から一つを手に取り、ロボットの足元に向けてシュートを打った。ロボットの手が錦くんに届きそうになった直前にボールを当てた。途端にロボットの動きが止まる。ナイスヒット！

「っしゃ！！」
「ちょっと待って！ああ！貴重な文化財が！」

一か八かの危機迫る状況なのだから仕方ない。フェイの慌てる様子を尻目に、近くにあった文化財のスパイクを履いて、襲いかかってくるロボットにボールを当て続けた。このスパイクを履くと、シュートの威力が結構上がる。これは、使えるぞ。重要文化財なだけはある。博物館は価値の高いサッカーのグッズが沢山あるから、それを使わない手はない。便利な物は使わにゃ損だ。

「...あれ、壊れちゃった」

適切な使用方法じゃなかったらしく、靴はすぐ壊れてしまった。

ロボットはただダメージを受け続けるほど馬鹿ではなかったようで、自己防衛のためバリアを張って抵抗した。

「そうきたか...だったら、今度はこれでどうだ！」

今度はサッカーヨーヨーの靴を履き、ロボットの死角を狙って攻撃した。現実世界でハンターハンターを読んでおいてよかった。キルアがヨーヨーで攻撃したように、私もこの特殊な靴でヨーヨーのようにサッカーボールを当てた。ロボットが次々と倒れ、私たちの前に障壁はなくなった。フェイの誘導で出口へ向かい、脱出することができた。