178 作戦会議 ページ45
なんとか打開策はないだろうか。サッカーが悪とされる社会を切り崩し、プロトコル・オメガ2.0を倒してサッカーと円堂監督を取り戻す方法は。ある時、ワンダバが閃いた。
「そうだ！覇者の聖典を使えば！！」
覇者の聖典とは、最強のサッカーチームの秘密について書かれた本らしい。著者はマスターDで、内容は暗号化されている。200年後のサッカー記念博物館に展示されているという。
「記念博物館に行けば、なにかヒントが見つかるかもしれない」
「その博物館に私たちが行っても問題はないの？」
「それなんだけど、本当はいけないことなんだ。だから、姿を隠しながら中に入る必要があるよ」
「覇者の聖典は重要文化財だからな。本来なら、審査をクリアした人しか内容を確認することはできない。サッカー界のバランスを変える程の力をもつ書物なのだ」
「そうなんだ」
議論の末、覇者の聖典を奪取し、中身を確認することとなった。私たちは正規の方法では内容を確認することが許されない。それはフェイやワンダバも同様とのことだった。サッカー記念博物館に潜入するにあたり、ワンダバからの説明を受けた。主に博物館の内部構造についてだ。目的とする覇者の聖典は第三展示室にある。侵入ルートはもう決まっているそうだ。ワンダバは監視システムをハッキングし、私たちを安全かつ迅速に目的地へ導いてくれる。つまりは、私たちは実行役、ワンダバは司令塔ということだ。
「任務は作戦が9割だ。入念に確認してから向かおう」
内部では声を出してはいけない。フォーメーションは一列縦隊。途中で仲間が逸れた場合にすぐ気づけるように、列の前の人の存在を必ず確認する。
「先頭誘導は僕がやるよ。最後尾は＿剣城くんに任せていいかな」
「ああ」
「これがワンダバから提案された潜入ルートだ。潜入の時は僕から指示は出すけど、大体のことは頭に叩き込んでおいてほしい」
フェイが左手首につけているタッチパネルデバイスから出したホログラムを確認する。地下から潜入し、2階分上がれば第三展示室のフロアに辿り着く。比較的単純なルートだ。
私たちはタイムマシンへ乗る。信助と語り合いながら、未来へ思いを馳せた。
「200年後の未来、フェイやワンダバの時代か。どんな世界なんだろう」
「ワクワクするね」
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
