177 失われていくサッカー ページ44
ルールは一点先取した方が勝ち。前回こちらが失点した試合の続きと考えれば、良心的なルール設定だ。彼らは真に私たちを潰したいのだろう。それだけの自信があるということだ。剣城の注意喚起により、チームはかろうじて持ち直した。
「みんな！化身アームドに気を取られるな！」
唐突な天馬とシュウのミキシマックスにより、雷門は勢いづいた。天馬とシュウのサッカーへの気持ちが合わさり、天馬は見事化身アームドを成功することができた。天馬の放つシュートは相手ゴールに突き刺さった。その光景を見て、エイナムは落ち着いた様子で呟く。
「そうか、成功させたか...」
サッカーバトルは私たちの勝利に終わった。
「ルールはルールだ」
そう言って彼らは消えた。円堂監督は帰らず、雷門のみんなの洗脳状態は戻らないままだが、今は難を凌いだことに安堵した。天馬は振り返って、私たちを勇気付けた。
「次はみんなの番です！」
その直後、葵ちゃんのもとに着信が届いた。どうやらサッカー棟が壊されているらしい。急いで雷門中に戻ることになった。それぞれメンバーがシュウにお礼を言う。
「ありがとう。アームドのヒントが見つかった気がするよ」
「君ならきっとその力を使いこなせるさ。頑張ってね」
「うん」
タイムマシンは出発した。サッカーがどんどんと崩壊へと突き進む現状に、車内の皆は不安の言葉を漏らしている。
「サッカー禁止令なんて法律があるんじゃ、サッカー棟が壊されるのも無理はないか」
「俺たちが化身アームドを習得するまでに、サッカーが本当に奪われてしまうかもしれないな...」
雷門中に到着すると、立ち入り禁止の立て看板が設けられていた。ショベルカーがあり、サッカー棟が壊されるという現実が目の前に広がる。この施設が取り壊された後、野球部の練習場になるということだ。社会からサッカーが奪われ、代わりに台頭したのは野球。実際、私のいた現実世界の日本での人気ナンバーワンスポーツは野球だ。野球は国民に愛され、いつも注目を浴びている。野球の魅力はこの世界でも通用するのだろう。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
