桜前線 4【イナクロ】 (ページ37)

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170　化身アームドの訓練ページ37

タイムブレスレットはフェイたちの時代でも手に入れられるのはごく僅かだとアルノ博士は語った。送り主である支援者Xは未来の人間に間違いないという。

「プロトコル・オメガを倒して円堂を救い、サッカーを取り戻すしかない」
「そのためには化身アームドの特訓が必要です。でも、サッカーができる場所がない...」
「世界で唯一サッカーができる場所がある。ゴッドエデンだ」
「ゴッドエデン...!?」
「雷門中サッカー部との試合の後、ゴッドエデンを閉鎖した。そこでなら、サッカーができる」

そして、私たちは早速ゴッドエデンに向かうこととなった。タイムマシンはその姿を消しながら空を飛ぶ。雲の上を飛んでいた。着陸した先は、ゴッドエデンスタジアム。閉鎖したこの島は社会から切り離されているから、思う存分特訓することができる。ゴッドエデンという選択肢がなかったとしても、過去に戻って特訓するという手もあっただろうけど、その場合は色々と不都合が起こりそうだ。

「化身アームドって、どうやったらできるようになるの!?」
「化身の声を聴くんだ。集中して、心の耳を澄ませて、力を一気に解放する」
「うーん、難しい」
「僕が言えることは、化身を感じ、声を聴き、気持ちを一つにすること」

"化身の声を聴く"か。今まで考えたこともなかったな。化身は力の象徴だと思い込んでいた。でも、よく考えると、化身というのは自分の分身でもあるのかもしれない。守護神でもあるのかもしれない。自分の化身、残花シエラザード。その化身に向き合い、統一し、鎧として纏う。それが化身アームドなんじゃないか。

「フェイは化身アームドできるの？」
「僕は...できない。だけど、方法は知ってる」

フェイはまるで質問が来るのを待っていたかのように即答した。化身の話をした途端に、ピリッとした緊張感に包まれる。フェイの言葉は淡々としていた。

化身アームドの特訓が始まった。皆がそれぞれ化身を出し、アームドを試みている。

「残花シエラザード！」

化身は安定して出せるようになった。次は、化身の声を聴くんだ。残花シエラザードの声...声.......。何も聞こえない。信助くんの声、天馬くんの声、錦くんの声、....それしか聞こえない。途中で化身は引っ込んでしまった。

「あれっ。もう一度！残花シエラザード！」

女性の化身、残花シエラザード。その化身は沈黙を貫いていた。