169 練習場所探し ページ36
サッカー禁止令はまだ続いていた。サッカーへの悪い印象は世界にも広がり、世界的にサッカーは禁止された。
また、驚くことに、封印された円堂監督は亡くなったことにされていた。死因は交通事故で、亡くなったのは一ヶ月前の親善試合の日だという。一度改変された歴史は再び変えるのが非常に難しくなるので、改変したプロトコル・オメガを直接倒すのが一番現実的だとワンダバは語った。
「歴史干渉が行われた直後はパラレルワールド上に複数の天馬が存在していた。その天馬同士が共鳴し、力を高め合った。でも、雷門中に関する振幅が収まった今、パラレルワールドが消え、共鳴現象が起きなくなった」
雷門中に関する振幅か。それは私にも適応されている筈だ。ということは、私に関してもいくつかパラレルワールドは存在していたことになる。だけど、自分の歴史が浅いことが起因して、私には共鳴現象の影響が少なかったと考えられる。
「前にも言ったけど、自分自身の力を高めることでしか、本当の化身アームドを身につける方法はないんだ」
「化身アームドを真に習得して、ベータたちを倒すしかない...」
「そういうことだね。君たちのうち、一人でも多く化身アームドを使えるようになれば、それだけ勝てる可能性は高くなる」
「とにかく、やるしかない」
「はい。サッカーを取り返しましょう。本当の歴史を取り戻すことができるのは、俺たちしかいないんですから」
「そういうことになるな」
まずはサッカーができるところを探すところから始めた。部室は閉鎖、サッカー棟は使用禁止、雷門中グラウンドも当然サッカー禁止、河川敷もサッカー禁止、住宅街の公園もサッカー禁止、商店街の路地裏の空き地もサッカー禁止。神童邸の庭は広いのでサッカーをするスペースはあるけど、万が一近隣の人に見られたら違法扱いとなる。やはり屋外でのサッカーはリスクが大きい。
音無先生のもとに電話がかかり、私たちは鉄塔に行くこととなった。そこには豪炎寺さんがいた。彼の腕には優一さんと同様にタイムブレスレットが身につけられていた。そのブレスレットを身につけていると、タイムパラドックスの影響を防御できるという。
「俺がフィフスセクターの聖帝だった頃、千宮路大悟は支援者Xから莫大な資金を受けていた。新世代の力をもった子供たちを発掘するためだ。彼らはSSCと呼ばれ、天馬もその候補の一人だった」
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
