桜前線 4【イナクロ】 (ページ33)

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166　催眠の影響ページ33

「円堂監督はどうなっちゃったんですか!?」
「おそらく...封印された。圧縮された次元の中で、動くことも話すことも何もできない状態にされている筈だ」

キャラバンは鉄塔に到着した。結果は惨敗。歴史を取り戻すことは叶わなかった。

「落ち込んでいる暇はないぞ！今はこれからどうするかを考える時だ。いずれ反撃のチャンスがきっと来る！」
「そうだよね。未来に向かって進まなきゃ」

ワンダバの一喝によって、サッカー部は再び団結力が高まった...かと思われた。しかし、実際にはサッカー部の大半からサッカーへの情熱が失われていた。降車する仲間が次々と離脱する。

「マインドコントロール波じゃ。サッカーへの気持ちが失われただけではない、サッカーを嫌いになってしまっている筈じゃ」

化身をもつ私たちは、化身が光線を跳ね返したとアルノ博士は考察した。なるほど、だから私たちはサッカーを嫌いになっていないのか。

雷門のみんながプロトコル・オメガから受けた催眠を解くには、プロトコル・オメガを倒すしかなさそうだ。時間が経てば、サッカーが嫌いという気持ちを本当に受け入れてしまうかもしれないとアルノ博士は語った。

「特訓だ！円堂監督ならきっとそう言うよ！」
「天馬の言う通りだな。特訓して、化身アームドを身につけて、あいつらを倒すんだ！」

士気が戻ったところで、ひとまず解散した。皆は疲れが溜まっている。大きな戦いの後は、休息を取らなければ次へは進めない。

解散してから、私はフェイに話しかけた。

「あの時は助けてくれてありがとう。フェイも助かってよかった」
「うん。でも、円堂監督は封印されてしまった。必ず助けに行こう」
「もちろん」

「A先輩、ちょっといいですか」
「？」

剣城に呼び止められた。なんだろう。

「たっくん。先帰ってて」
「ああ」

TMキャラバンは木枯らし荘に移動し、天馬たちはボロボロの姿で帰った。その場には剣城と私だけが残る。自販機で購入した水を二本買い、片方を剣城に手渡した。

「今日はお疲れ様。よかったらこれ飲んで」
「ありがとうございます」

夕暮れの鉄塔でベンチに座る。剣城は木にもたれかかっていた。私が話を切り出す前に、剣城は用件を伝えた。