桜前線 4【イナクロ】 (ページ31)

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164　vs プロトコル・オメガ2.0 [2] ページ31

私たちの今回のミッションは、試合に勝つことではない。倒れないこと(・・・・・・)だ。
いくら相手が酷いラフプレーをしてきたとしても、その凄惨さを映像記録に残さなければ良い。私たちはなんとしてでも無事にプレーできていることをアピールしなくてはならないのだ。

ドリムからのチャージで何度か吹っ飛ばされかけたが、その程度ではこの私を倒すことなどできない。なんせ小中高と、ドッジボールであらゆる方向からのボールを躱してきたのだ。当時は自陣が自分一人になろうと、何分もの間躱し続けた。躱すことには自信があるけど、自分から攻撃を仕掛けるのは下手だったので、結局負ける運命にはあったけども。その経験が活きて、ドリムからの理不尽な攻撃から重いダメージを受けることはなかった。

「奴らを止めなければ、サッカーが野蛮なスポーツにされてしまう！」

未来人の驚異的なスピードと威力に免疫のない雷門中サッカー部の大半は、瞬く間に潰されてしまった。崖っぷちに立たされた雷門。フェイがデュプリを出して補完したものの、フェイ自身の体力の消耗に目をつけたベータらによって押さえ込まれてしまった。ベータは勢いを増し、雷門ゴールへと一直線に向かってきた。

「デュプリ如きに止められるものか！邪魔だぁああああ！！」

雷門ゴール前には拓人くん、剣城、錦くんがいる。私たちは視線を合わせて頷き、化身を出した。

「奏者マエストロ！」「剣聖ランスロット！」「残花シエラザード！」「戦国武神ムサシ！」

さらにキーパーの信助も化身を出す。

「護星神タイタニアス！」

しかし、化身アームドをしたベータの前には無力だった。雷門全員が倒れたところで、試合は強制的に中止となった。

「これ以上、私たちのミッションの邪魔をされては面倒です。これから貴方たちのサッカーへの情熱、ぜーんぶ奪っちゃいます♡」

彼女の足元が近づく。すぐ真横に彼女の足があった。見上げると、彼女は冷たい目を細くし、にこりと笑いかけた。

「二度とエルドラドに歯向かうことができなくなるように...」

"マインドコントロールモード"

黄色光の波紋が広がり、会場全体に伝わっていった。

「フェイさん、あなたは危険な存在です。そして、Aさん。なぜかあなたの過去には干渉ができない、極めて不思議な存在です。だから、お二人のこと、しっかり調べちゃいます♡その存在、封印しますね」
「...?!!?」

紫の光が自分を引っ張っている。な、なんだこれ。