162 アルノ博士登場！ [3] ページ29
「ワームホールの出現はどのようにコントロールしているんですか？」
「ほう。そこが気になるか。君は時空の科学に興味を持っているんじゃな」
「はい。教えてください」
「ワームホールを説明するには、まずはブラックホールの説明が先じゃのう。君はブラックホールを知っているかな？君たちの時代にも概念自体はあった筈じゃが」
「聞いたことはあります。なんでも吸い込んでしまう恐ろしい穴だと」
「そう。吸い込むのじゃ。吸い込むブラックホールと、吐き出すホワイトホールが合わさり、それぞれの特異点を電磁波により拡張することによって、ワームホールは完成するのじゃ。ワームホールは本来宇宙空間でのみ作ることが可能とされてきたが、ワシの研究により、地球上でも生じさせることが可能となった。あくまで小規模なものに限るがの。その技術は人類全体の資産として特許を取らずに公開したから、当然エルドラドにも使われているのじゃが、科学の発展のためには必要なことじゃと思っとる」
「そんなことが...では、ブラックホールやホワイトホールはどうやって生まれるんですか？」
「ブラックホールとは時空の歪みの結果なのじゃ。そもそも時空とは、時間と空間のこと。それはよいな？」
「はい」
「重い質量をもつ物体のまわりでは時空が歪み、それが重力となる。ブラックホールの場合、非常に重い質量によって深い穴が生まれるのじゃ。ホワイトホールはその逆じゃな」
「ブラックホールが正の質量によって生まれるとすると、ホワイトホールは負の質量によって生まれるってことですか？」
「その通り！わかってきておるな」
「なるほど。未来は＿、アルノ博士は、凄いんですね」
「ホッホッホ。さて、満足したかの？」
「はい。解説ありがとうございます」
アルノ博士は遠い目をして言った。
「本来時の流れとは、未来に向かって進むものなのじゃ。じゃから、未来にタイムジャンプすることは悪いとは思わん。じゃが、＿過去に戻るというのは、神の理に逆らうということだとワシは思っとる。自分でタイムマシンを開発しておいてなんじゃが、時空を超えるには覚悟が必要じゃ。ワシの時代では、人々が勝手に時空を移動することは原則許されておらん。エルドラドによって厳正に管理されておる。時空を自由に移動している君たちは異例なんじゃよ。それを心に刻んでおくのじゃ」
「はい、わかりました」
未来の最前線の研究者から貴重な話が聞けた。嬉しい。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
