161 アルノ博士登場！ [2] ページ28
「パラレルワールドにはもう一つ大きな特性がある。変えられた歴史は一時的に複数のラインを見せていても、徐々に一つに戻ろうとする。本物となった流れ以外はやがて消えてしまうのじゃ」
その状態をアルノ博士はギターの弦を例に出して説明した。
「今回の場合、タイムジャンプして平行する別の時間の流れにいた天馬くんたちは時間介入の影響を受けていない。だから本当の一ヶ月前の試合の記憶を持っているのじゃ」
「このまま放っておくと、サッカー禁止令が本当の歴史になってしまう！」
「その通り！君なかなか賢いのう！」
褒められた茜ちゃんは花が咲くように微笑んだ。あの内容をすぐに理解できるなんてすごいな。あのビデオが幼児向けだというのが信じられない。成人の私でも全部はまだ理解できないっていうのに。私の頭脳は未来の幼児以下ってコト...！？
「うあー！難しいことはわからんー！！ワシらは何をすればいいぜよー！！」
「なに、簡単なことじゃよ。歴史の流れが固定する前に、インタラプトまでタイムジャンプして、エルドラドの介入を阻止すればいいんじゃ」
「僕らがアメリカ代表と入れ替わって、日本代表に扮したプロトコル・オメガを倒せばいいのさ」
アーティファクトは天城先輩が持っていた試合のチケットを用いることとなった。話はまとまった。TMキャラバンに移動する前、私はアルノ博士にいくつか質問をした。
「タイムマシンを作ったって本当ですか？」
「そうじゃ。このワシが作ったんじゃよ」
「どうやって作ったんですか」
「20世紀最大の理論物理学者・アインシュタイン博士の相対性理論が全ての始まりじゃよ。彼は自身が作った特殊相対性理論とニュートンの万有引力の法則のアイデアを一般相対性理論に昇華させた。その理論を用いて、23世紀の科学者であるワシが長年の時を経てタイムマシンを完成させたのじゃ。ちなみに、ワシが開発したタイムマシンは2種類ある。地球上で用いるタイムマシンと、宇宙空間で用いるタイムマシン。ワームホール突入前に出せる速度などの環境条件が違うからのう」
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
