158 束の間の平和 ページ25
授業が終われば、いつもの部活動。その日常がやっと戻ってきた。この平和な日々がとても嬉しい。とうとう奴らからサッカーを取り戻したんだ。しかし、まだ気は抜けない。念のためフェイはこの時代に残ることとなった。
「プロトコル・オメガはいつ動き出すかわからないからね。油断はできない」
「エルドラドって、どういう組織なの？」
「僕の時代の意思決定議会だよ。人類を導くため、世界各国の代表が集まって、長年に渡り続いているんだ」
「そんなに大きな組織なんだね。エルドラドの敵はフェーダだったっけ」
「そう。セカンドステージチルドレンと呼ばれる、人を超えた能力をもった未成年の集まりさ。彼らの寿命は短いけど、その代わりに超越した能力を得ている。それは身体能力であったり、頭脳だったり、様々さ」
「エルドラドはそんな凄い人たちと戦いながら、私たちとも戦っているんだね」
「ああ。僕らを潰せば、優秀なサッカープレイヤーの遺伝子をもつセカンドステージチルドレンを消すことができる。奴らは本気なのさ」
ふとある疑問が出てくる。
「でも...よく考えたら、フェイはエルドラド側ってことにならない？だって、エルドラドは人類の味方なんでしょ？話を聞くと、フェイにとってもありがたい存在なんじゃないかなって思うんだけど」
すると、フェイは真面目な顔をして返答した。
「僕はサッカーを守りたい。だから、奴らと戦うんだ」
人類の脅威に晒されてもなお、サッカーを愛しているというのか。彼の思いは強かった。そこまで言うなら、彼は本気でエルドラドと戦おうとしているということなんだろう。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
