147 vs プロトコル・オメガ [2] ページ14
プロトコル・オメガの動きが速すぎてついていけない。目が回りそうだ。そんな中でも天馬はこの状況に適応している。すごい。棒立ちになっていると、フェイが声をかけてくれた。
「大丈夫！目が慣れていないだけだよ」
「そ、そっか」
その時、正面から目も止まらぬ速さでボールが迫ってきた。シュートが放たれてからボールが私の腹部に到達するまでの時間は、ボールを認識してから避けようと動くまでの時間より遥かに短かった。気づけば飛ばされていた。
「う、ぐうぅ！！」
倒れていると、頭上から声がした。
「お前はチームのお荷物ということだ」
プロトコル・オメガの選手から言葉を吐き捨てられた。その瞬間、心がぎゅっと苦しくなった。しかし、手を差し伸べる人が側にいた。
「立てそうですか？」
天馬の手が目の前にあった。その手を取っていいのか一瞬迷った。彼の善意が苦しい。天馬はこの流れについていけているけど、自分はそうじゃない。本当に自分はこの場でお荷物なんじゃないかと思った。
「今の一撃、結構痛くて...」
「え！大丈夫ですか」
天馬が屈んで私の背中を支えてくれた。下を向きそうになった時、拓人くんや雷門のみんなの姿が脳裏によぎった。今のままじゃ、みんなはサッカーを奪われたままだ。サッカーを返さなくては。
私、馬鹿だ。ちょっと痛めつけられたくらいで心が弱くなって、諦めようとしてた。
サッカーを取り戻すんだ。サッカーが大好きなみんなに戻ってもらうんだ。雷門のみんなとまたサッカーするんだ。
「ごめん、大丈夫！もう平気。ありがとう」
「わかりました！」
新しい次元に喰らい付いてやる。雷門魂っていうのは、諦めない心だ。私は決して諦めない！
今の自分ではみんなの足を引っ張っているかもしれない。でも、諦めて立ち尽くしている方がもっと足を引っ張ることになる。自分にできることは何か、みんなにとってどう動いてほしいと思われているか、それを見つけるんだ。
こぼれ球を拾ってパスをしたり、少しでもフェイの負担が減るようにデュプリのサポートをするなどして、アシストを続けた。その時、スタジアムの観客席の方から声が響いてきた。
「おーい！この試合、俺も入れてもらえないかな」
148 vs プロトコル・オメガ [3]→←146 vs プロトコル・オメガ [1]
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
