135 神童拓人のインタラプト補正 ページ2
気づけば、私たちは灰色の木漏れ日の中にいた。どうやらここは小学校のようだ。たくさんの子供たちがいる。そんな中、ある少年が一人で佇んでいた。あの子、拓人くんに似てる...。
「あれは多分、俺が...サッカーを始めた日だ......」
「え!?」
「一人でいた時、霧野がサッカーに誘ってくれたんだ」
その時、桃色髪の男の子が駆け寄ってきた。あれは幼い霧野くんだろうか。彼の手にはサッカーボールがある。
「お前も一緒にサッカーしようぜ！」
その時、別の少年が現れ、幼い霧野くんの行動を止めた。
「やめとけって。神童に怪我させたら、俺たちが責められるんだぞ」
「だけど...」
「そいつを入れるんだったら、サッカーはなしだ」
幼い霧野くんは心残りのような顔をして振り向き、そして元いたグループに戻って行った。
そんな様子を見ていた私は複雑な気持ちになって、拓人くんの方を振り向いた。すると、拓人くんは訝しげな顔をしていた。
「おかしいな...霧野が誘ってくれた後、俺たちはサッカーをしたはずなんだ。あんなことは言われていないと思う」
「知ってる出来事と違うことが起こったっていうこと？」
「＿ああ」
その時、謎の少年がぽつりと言った。
「分岐点。インタラプトの補正完了」
その言葉に違和感を覚えた。
「インタラプト？」
interruptという英単語は"邪魔をする"、"中断"という意味だったと思う。彼の言い放った言葉の意味が気になり、彼を問い詰めた。
「今、何が起こったの」
「神童拓人からサッカーを奪った。それだけだ」
「サッカーを奪った？」
この人は何を言っているんだろう。サッカーを奪うということ自体、よくわからない。そう思ったその直後、拓人くんが突然頭を抱えて呻いた。
「う、、、....あっ、、」
「たっくん!!?」
「い、たい...う、、...」
「そう＿。サッカーは痛い....辛い....重い....」
「ちょっと、たっくんに何をしたの」
「っ、く、.......」
「苦痛......邪悪..........不必要...............＿＿＿＿」
謎の少年はその言葉を繰り返す。すると、だんだんと拓人くんの目から生気が消えていった。
「任務完了。次はお前だ」
今度は無機質な目がこちらを向いた。
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
