イナイレ乙女ゲーム「転生姫と4人の王子」 (ページ8)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,759 hit

第8話ページ8

神童は私に対し、ショコラケーキを乗せた小皿を私に差し出した。私はそれを喜んで受け取る。

「よければこの紅茶もどうぞ。これは、我がオリンポス国の特産品なんです。基山王子も是非」
「わあ、ありがとうございます」
「ありがたく頂くよ」

紅茶を口に含むと、上品な香りと味わいが広がった。

「爽やかなで繊細な渋みがありますね」
「はい。俗には、その感覚をパンジェンシーと呼ぶこともあるそうです。これは渋みを表した言葉らしい」
「素敵な言葉ですね」
「紅茶らしさを感じられるのは渋みだよね」
「ああ、俺もそう思う」

共にショートケーキを楽しみ、皿をテーブルに置いた直後、ある時後ろにいた人と背中がぶつかり、転倒しそうになった。その時、私を支えてくれたのが基山王子だった。

「お怪我はないですか、姫」
「あ、ありがとうございます」

私は彼の胸元で包まれていた。露出した私の肩を彼の温かな手が触れて、支えてくれている。ふと顔を上げると、彼の整った顔が間近で見えた。彼のミステリアスな深い緑の目が私の視線の先を支配している。

「どういたしまして」

凛とした表情で優しく振る舞う。彼の胸元は良い香がした。もっと彼に包まれていたいと思うのは罪なことだろうか。