第3話 ページ3
食卓へ着くと、そこには円堂守がいた。彼の姿は若々しいが、男爵のような髭がわざとらしくつけてある。
「では、ごゆっくり」
家事使用人はその場に残り、私と国王は着席していた。家事使用人が前菜を出し、その前菜の豪華さに私は圧倒されていた。
「こちら、スモークサーモンのファルシでございます」
「よし、食べようぜ」
そう言って国王は食事に手をつけた。私も倣ってナイフとフォークを持つ。銀色のフォークに天井の光が反射し、きらりと光る。
「2人の執事にはもう会ったか？」
「はい」
「そうか。いい奴らだろ」
「はい。私には勿体無い執事たちです」
「ははっ、そうか」
国王は改めて私に向き合い、ある話をした。
「これは裏の話なんだけどな。実は今、この国はある存在によって脅かされているんだ。そいつの名前は影山零治。あらゆる手段で国を崩壊させようとする悪い奴だ」
私は相槌を打つ。この世界では、影山零治は敵の立ち位置らしい。
「その影山零治が、ある国を裏で支配しているという話が出ている。その支配された国がどの国かはまだわかっていない」
国王は強い眼差しをし、語っていた。
「俺のじいちゃん、つまり前国王は影山に殺されたと伝え聞いている。俺は影山を許す訳にはいかないんだ」
「…」
「お前には、4国と交流しながらその調査をしてほしい」
「！」
「Aにしかできないことなんだ」
国王から頼まれ、私には断る選択肢がなかった。
「はい。わかりました」
「頼んだぞ」
そして夜が訪れ、1日目のエピソードが終わった。画面が真っ暗になり、セーブされたタイミングで私はVRのヘッドギアを外し、現実世界に戻った。外した瞬間に日常の風景に戻り、ベッドの上で私は呆然としていた。そして、私は一言呟く。
「すごかった...」
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作者名：充滞 | 作成日時：2022年11月16日 17時
