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第4話 遡行 ページ5

確信のある顔をしながら、未来人はくしゃくしゃになった新聞紙をゴミ箱から拾い上げ、それを広げた。そして、彼はある新聞記事に載った犯人の顔を見せた。


「この人物を見つけたら、”インタラプト修正開始”と言って、手を翳すだけでいい。到着したら、すぐ近くにいる筈だよ。それが終わった後、君はすぐにはこの時代には戻ってはこれない。中学3年生から人生をやり直してもらうことになる。それでも良いかな?」
「まだ理屈はよく理解していないけど、着いたらその人にその言葉を告げて、また人生をやり直したら私の夫は将来事故に遭わずに済むのよね?」
「その通りさ!」



未来人は、にっこりと笑った。私は不安に思いながら霧野君を見上げると、彼は私の両肩を掴んで励ました。



「俺だって、神童が亡くなったのはやるせない。だが、それは歴史の間違いだったことが今わかったんだ。神童を生き返らせてくれ、頼む。A」
「…わかった、霧野君」
「大丈夫。Aならできるさ。俺やフェイを信じてくれ」
「うん」



念の為、事故の新聞記事の内容を熟読し、私は彼らに向き合った。未来人が指をパチンと鳴らすと、私の意識は別の世界に取り込まれた。





鏡の国のアリスのような空洞の中を落下していく。一面が虹色で、気持ち悪くなるような色の動き方をしている。違法ドラッグを摂取した時の視界のようだ。






「わああ〜〜〜〜!!!!!!!」





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視界がぐるんぐるんと回る。強い重力を全身に感じながら、際限なく落下していく。目を閉じ、意識をシャットダウンしようとするも、その落下は続いた。そして、パッと目を開けると、落下は止まり、私はある教室のど真ん中に立っていた。

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作者名:充滞 | 作成日時:2022年5月23日 14時

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