王者の咆哮【イナイレ】 (ページ6)

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次の週、河川敷を通って帰路を辿っていると、やはりオレンジのバンダナの少年はサッカーをしていた。彼は白いTシャツを着ていて、ジャージを履いている。その姿はひたすらがむしゃらに一つのボールを追いかけていた。

ずっとサッカーをやっていて、飽きないのだろうか。そう思いながら立ち尽くしていると、彼がこちらの視線に気づいたのか、挙げた片手をブンブンと遠くから元気よく振っていた。私は自然と微笑み、階段を下りて彼との距離を縮めた。そして、またサッカーをした。その後、少し話した。彼の学校も夏休みに入ったという。

「なあ、聞いてくれよ。今日テニス部の隣でサッカーやってたらさ、ボールがぽーんって飛んじゃって怒られたんだ」
「それは怒られるだろうね。グラウンドで練習すればいいのに」
「俺もグラウンドで練習したいけど、借りられなかったんだよ〜。」
「サッカー部なのに、専用のグラウンドがないの？」
「ない。だって、サッカー部は4人しかいないから」
「4人！？たったそれだけの人数！？」
「俺と、半田と、染岡。それにマネージャーの秋！みんないい奴ばっかりなんだぜ！」
「そうなんだ」

詳しい話を聞くと、雷門中には今までサッカー部がなかったらしい。そこで彼が新たに部を設立し、顧問から与えられた部室を掃除していたらサッカー部の看板を見つけたのだという。つまり、昔の雷門中にはサッカー部があったということだ。

「そっちにはサッカー部専用のグラウンドがあるのか？」
「私も詳しくは知らないけど、あると思う。なにしろ帝国学園の理事長がサッカー部の監督をしているし、予算もかなり注ぎ込んでいるんじゃないかな」
「へえー、やっぱり帝国は凄いんだな」
「まあね」

「そういえば…君の名前、なんだっけ」
「円堂守！お前はAAだろ？」
「ああ、そうそう。円堂君だった。今覚えたよ」

「それじゃあまた」
「またな！気をつけて帰れよ！」

真夏の夕方に私と円堂はそれぞれ帰り道を進む。朝凍らせた筈のペットボトルの水は既に溶けていた。温くなった水の最後の一滴を喉に流し込み、空になったペットボトルは公共の屑籠に棄てた。