王者の咆哮【イナイレ】 (ページ12)

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夏季授業後の残りの夏休みは専ら円堂らと共にサッカーをしたり、家で勉強した。対して、明王は家に入り浸り状態かと思いきや、夜以外は家にいなかった。夕食は作り置きのものが冷蔵庫に入っているだけで、それは私一人のためだけに作られていた。洗濯もしてくれる。日中には明王は今どこにいるのだろうと思いながら所在不明の彼を気にしつつ、私は私なりに夏休みを堪能した。

ある日は円堂らと共に河川敷でサッカーをし、時には雷門中のグラウンドの隅でサッカーをした。時には円堂の家に行って、皆と共に夏休みの課題をした。円堂は宿題をしている最中もサッカーがしたくてうずうずとしていて、そんな彼を半田が呆れた顔をして眺め、染岡は肘をついて口を尖らせながら黙々と課題をしていた。また、新たに出会った秋ちゃんと仲良くなった。その輪の中で長期休みを共に過ごし、サッカーの経験を重ねるにつれて私はサッカーというものが徐々に好きになっていった。

ある日は家でゴロゴロとして過ごした。DSで遊び、気づけば数日が経っていたということもある。また、稀に明王が家に一日中いた日もあった。その時彼はソファに寝転がり、ポテトチップスを片手で摘みながらテレビを見ていた。肘置きにされたり、からかわれたりすることも時折あった。ダラダラと過ごしていた彼であったが、周囲に常に鋭くアンテナを張っており、私のおおよその動きは把握しているようだった。

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夏休みが終わり、学校生活が再開した。明王は転校生として別のクラスに入ったようであった。彼はある意味ですぐに一躍有名となっていた。

「な…、サッカー部に入った？しかも帝国の？」
「悪いかよ」
「悪くはないけど…。サッカーやってたんだ」
「サッカー部に入るつもりで俺は帝国に来た」

帝国学園サッカー部のユニフォームを着た彼はそう告げると、サッカー部の部室のある方向へと向かっていった。私はその背中を呆然として眺めていた。