（31） ページ32
「…？あれ、わたし…」
「起きたか」
「Aちゃん！」
鬼道のゴーグルが私の方を向いていた。私は彼のオーラに圧倒され、思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「兄さん、いくらなんでも倒れるまで続けなくてもいいじゃない」
「Aの限界を知るには、こうするのが最善だった。それだけだ」
「A、大丈夫か？」
「はい。体力戻りました」
「体力が戻った？」
「はい。今からでも走り込み再開できそうです」
「なんだって？」
私は起き上がり、走り込みを再開した。休憩時に発動した自然治癒能力によって体力が復帰したのである。私はまた走った。
結局、部活が終わるまで私はグラウンド周りを走り続けた。その疲れを知らない異様な光景に部員は驚いていた様子だった。気絶した時間含め、ランニングの時間は二時間半であった。
＿＿＿＿
「お疲れ様でしたー」
「また明日！」
夕陽に照らされた校門では、帰宅する生徒がちらほらといた。野球部、相撲部、新聞部、バスケ部、園芸部、サッカー部など様々な部活は最終下校時刻を迎えて各々帰路につく。
私は神童と霧野の後を歩くようにして歩道を歩いていた。霧野は私に話しかける。
「今日は驚いたな。Aがあれほど疲れ知らずとは思わなかったよ」
「ああ。無尽蔵の体力だった」
彼らに限らず、サッカー部は総じて私の疲れ知らずさに興味をもっていた。女子で筋肉量も多いとはいえない選手が、なぜあれほどグラウンド何百周もできるのかと。
「車田先輩に、人間卒業だと言われました」
「言われていたな。いやでも、言い得て妙かもしれないぞ。それくらいすごい体力だ」
自然治癒能力のおかげで、休憩を取ればすぐに体力が戻り、怪我も治る。そんな素晴らしい能力を手に入れることができた私は幸運だ。そう思いながら日が暮れた道を彼らと共に歩いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
充滞(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！ (2021年9月7日 21時) (
レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみません。頑張って下さいね！応援しますね！ (2021年9月7日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 星猫さん» お誘いありがとうございます。今回は遠慮させて頂きます。ご期待に添えず申し訳ありません。 (2021年9月7日 20時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 無理だったら、ごめんなさい。応援しますので頑張って下さいね！ (2021年9月7日 20時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 一緒に合作しませんか？ (2021年9月7日 20時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：充滞 | 作成日時：2021年9月7日 19時
