（29）体育館裏 ページ30
二年生の神童拓人は、いわば雷門の王子様である。そんな彼に接近する女子が現れ、しかも共に同じ家で過ごしているとなると神童のファンは黙っていられる訳がなかった。
その日の放課後、私は上級生に体育館裏に呼び出されていた。あまりにベタな展開すぎて逆に驚いた。ファンクラブのリーダーと思われる人物がまずこちらに話しかけた。私は数人に囲まれ、重い空気の中立っていた。
「あなた、ファンクラブに入っていない上に抜け駆けをするとは、私たちに失礼だとは思わないのかしら？」
「それは…気に障ったのならすみません」
「1年C組のAAさんですわね。神童さまにお近づきになるために、サッカー部に入ったのでしょう？」
「まあ、間違ってはいないです」
神童目当てというよりは、雷門中サッカー部目当てだ。私は雷門中メンバーと共にサッカーをするために今ここにいる。
「なんて女！小賢しい！」
「それだけ、神童さまが魅力的ということでしょう。第3回雷門中イケメンコンテストで優勝して以来、このような女が続出してますの」
「そうなんですか。人気があるんですね」
「ええ、それはとても。…話を戻しましょう。我々があなたに言いたいのは一つ。神童さまのファンクラブに入会するか、今すぐ神童さまのもとから去りなさい」
「あの。練習がそろそろ始まるので行きます」
「お待ちなさい！...コホン。我々神童さまファンクラブでは、神童さまと接する機会を平等に与える方針を基本としているの。そんな中、あなたのように好き勝手する人が現れるとこちらとしては困るのよ」
「山菜先輩も入会しているんですか？」
「サッカー部マネージャーの山菜茜ね。あの子も入会していないわ」
「そうですか」
中々彼女らは話を終わらせてくれない。これからリンチでも起こるのだろうか。穏やかではないなと思いながら困っていると、その場に新たな影が落ちた。ウェーブのかかった髪がわかる影である。
「君たちは一体何をしているんだ？」
「し、神童さま！」
私は「ああ助かった」と安堵した。彼の登場はこの状況を全て一瞬にして解決する。
「わたくし達はなにも…」
「これから部活があるんだ。Aは俺たちサッカー部にとって大事な選手だから、用が済んだのなら解放してくれ」
「え、ええ！勿論です」
「…Aを傷つけるようなことがあれば、俺は許さないからな」
ファンクラブ一行は一斉に私に謝り、その場から一瞬にして散った。私は呆然とした。
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充滞(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！ (2021年9月7日 21時) (
レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみません。頑張って下さいね！応援しますね！ (2021年9月7日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 星猫さん» お誘いありがとうございます。今回は遠慮させて頂きます。ご期待に添えず申し訳ありません。 (2021年9月7日 20時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 無理だったら、ごめんなさい。応援しますので頑張って下さいね！ (2021年9月7日 20時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 一緒に合作しませんか？ (2021年9月7日 20時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2021年9月7日 19時
