（19）襲撃 ページ20
「喋るな。そのチェーンを開けろ。」
声が出なかった。あまりの突然の事態であった。
恐怖の圧力のままに無意識に手はチェーンに伸びていた。しかし、片方の手でその動作を寸前で止める。隙間から腕を掴まれそうになったので私は飛び跳ねるように後退りし、静かに玄関から離れた。
チェーンがついていて本当に良かった。チェーンがついている限り、身の安全は保証されている。玄関のドアに対して正面に向きながら、後退りを繰り返した。
鮮明になった意識の中で、私はパニックに陥っていた。どうしよう。この状況で、どうするのが正解なんだ。どうするのが良いんだ。
ふと脳裏に剣城が現れた。そういえば、困ったことがあれば電話しろと言っていた。私は必死に電話帳から彼の番号を探す。スマホの上部に表示されている現在時刻は、午前5時13分。起床時刻としてはまだ早いが、彼に助けを求めたい。彼に申し訳ないと思いながらも、縋るように彼に電話をかけた。数回の呼び出し音の後、その音がなくなった。同時に彼の掠れた声が聞こえてくる。寝起きらしい。
『…何だ』
「あ、つ、剣城。朝早くにごめん」
『ああ。…で？どうした』
「今、玄関の前に、変な人いて、」
『…。何があった？』
「わからないけど、ドアを開けろって言ってくる。今すぐチェーンを外して、開けろって。騒ぐな、とか」
『…たしかお前はホテルに住んでるんだったな。それならまず、客室にある内線電話を使ってフロントに連絡しろ』
「わ、わかった」
『チェーンは絶対外すな。いいな』
「うん」
電話が置かれている引き出しからマニュアルを取り出す。そこに書いてある内容に従って、私はフロントに電話をした。剣城との電話は繋いだままである。従業員に客室番号を言い、警察への通報と迅速な対処をすることを告げられた。電話を切り、私は戦慄しながらまたスマホを取った。
「つ、るぎ。連絡したよ」
『ああ。よくやった。お前、どこのホテルに住んでるんだ』
「神童邸のすぐ近くの大きいホテル」
『お前…あそこに住んでいるのか。わかった。俺も今すぐそっちへ向かう』
「そんな。それは駄目だよ。もし犯人と鉢合わせしたらどうするの」
『それはなんとかする』
「絶対それは駄目。剣城は家にいて」
『…わかった。だが、気を付けろよ』
「うん」
電話は切れた。私は深呼吸をして、ただ部屋の隅に同化するよう座っていた。
これが現実だとは未だに思えないでいた。
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充滞(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！ (2021年9月7日 21時) (
レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみません。頑張って下さいね！応援しますね！ (2021年9月7日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 星猫さん» お誘いありがとうございます。今回は遠慮させて頂きます。ご期待に添えず申し訳ありません。 (2021年9月7日 20時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 無理だったら、ごめんなさい。応援しますので頑張って下さいね！ (2021年9月7日 20時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 一緒に合作しませんか？ (2021年9月7日 20時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2021年9月7日 19時
