384. 栄光の逆転勝利 ページ46
私は手前に、剣城はその後ろに、天馬は私たちから距離を取ったその背後に位置する。最初の構えをし、勢いをつけて高く跳び、足元に赤い炎が纏い、回転と共にそれは激しさを増す。安定した完全さを感じながら私はボールの下を蹴り、剣城は上を蹴る。そして、天馬が私たちの元まで高く飛んできて、ボールは加速状態の程度を高めて勢いよくゴールへ一直線に向かった。互いの炎が激突し、千宮路大和は化身技で対抗するも、結局最高難度の技は止められなかった。
このシュートがドラゴンリンク側のゴールネットを揺らした直後に、試合終了のホイッスルは鳴り響いた。4-3のスコアが電光掲示板に映し出され、観客の歓声が最高潮に達した。雷門の勝利が確定した瞬間であった。
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逆転勝利。それがドラゴンリンク戦の本質であり、フィフスセクターとレジスタンスの関係を映し出しているとも捉えられる。そして、その逆転勝利は史実通りに達成された。
しかし、私は思う。もし私が神童さんや千宮路大和、天馬から気付きを得ていなかったら、果たしてこの試合に勝てていたのだろうか。何も考えずにこの試合に参加していて、そのままプレーを続けていたら化身を出すことはできなかっただろう。
おそらくだが、化身が私に求めていたことは「サッカーに向き合うこと」だ。それを達成して初めて私は認められたのだろう。もしかしたら、シード時代の私にできて、今の私にできなかったことだったのかもしれない。
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ふとフィールドを見ると、天馬の姿が忽然と消えていた。辺りを見回すと、神童さんのいる観客席に向かっている様子が見えた。側から眺めていて、二人は涙して称え合っているように感じられる。
「は…」
私はその場にへたり込む。力が完全に抜けてしまった。
終わったのか。決勝が。
フィフスセクターの管理サッカーは幕を閉じ、あるべき自由なサッカーの形に戻るのか。
脱力感と共に、緩和された膝の痛みが訪れた。そして、息を多く吸う。
全身の痺れが心地よく感じられた。左足の腫れが芝生の先端に当たって痒い。
目の前には一つのサッカーボールがあった。それは今まで私たちが必死に奪い、奪われ、追い求めてきたものだ。傷のついたボールを手に取り、光に反射して眩いそれを手に持つ。不思議な気分になった。まるで宝石のように白黒のボールがキラキラとして見えた。
サッカーだ。私はサッカーをやっていたんだ。
ただそう思った。
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充滞(プロフ) - 倉木 勝さん» わー！！とても嬉しいです。思わず悶えてしまいました。最初は自己満足のためにこの小説を書き始めたのですが、予想以上に他の方にも楽しんでもらえているようで何よりです。また、イナGOが多くの人に愛されているのは最高に嬉しいです。更新楽しく頑張ります。 (2020年8月22日 22時) (
レス) id: 9a1665b462 (このIDを非表示/違反報告)
倉木 勝(プロフ) - 本当に大好きな作品です。通知が届く度に嬉しくて幸せな気持ちになれます。更新頑張ってください、楽しみにしています！ (2020年8月22日 22時) (レス) id: 5a008c300c (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 幸さん» コメントありがとうございます。とても励みになります。今後も楽しんで頂けるように作品作りを続けたいです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 9a1665b462 (このIDを非表示/違反報告)
幸(プロフ) - いつも楽しくみてます。更新頑張ってください (2020年8月22日 0時) (レス) id: 0996b5f75f (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» ありがとうございます。イナクロ再履修が終わり、イナクロまでの構成が決まったらまた更新再開しようと思います。 (2020年8月7日 21時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年8月3日 10時
