368. 最後の特訓場 ページ30
特訓場に着き、豪炎寺さんの監督で朝から早速ファイアトルネードTDの練習を始めた。彼に見てもらえるのは今日までだと思うと、できるだけ現時点で完成に近づけなくてはならないのだと痛感する。私と剣城の連携は今のところほぼ完成に近いが、これに天馬が加わるとなると対応する余裕がなくてはならない。彼の速さをシュートに加えることができれば、この技は無敵と言っても過言ではないだろう。少なくとも、このシュートだけで化身に対抗する力はある。
「次」
「「はい！」」
打って、また打つ。左足が偶に痺れを覚えるも、それを打ち消す程の集中力で練習を続けた。シュートを連続で打ち続けていては足に負担がかかるので、途中で体幹や平衡感覚を鍛える訓練や休憩を挟みながら時を過ごした。特訓慣れしている剣城は粘り強く特訓に向き合っている。また、私も不思議と湧いてくる体力を感じながら特訓に食らいついた。
決勝戦は間近にある。数日先だ。
運命の日を迎えるにあたって、その場の誰もがサッカーに対して真剣に向き合っていた。
適切な指示が次々に飛んでくる。私と剣城は彼の指示に忠実に従い、繰り返し完成形を目指す。
「っは、…」
「剣城」
手を差し出し、彼を起こす。そのままぐっと手前に引いた。互いに疲労は積み重なるが、支え合うことでモチベーションは飛躍的に上がるのだと無意識に経験で理解している。剣城は真顔のまま立ち上がり、再度シュート体勢に入った。シュートを打ちながら、剣城の心配ができるほどまだ心と体に余裕が残っているのだと自覚した。それは全力を出せていない証拠に違いない。
先の見えないゴールに直面しても変わらず立ち向かうと私たちは決心していた。苦境に面しても諦めない理由は各々違うが、その共通する要素が確実にこの技の質を高めていた。
部活終了時刻から少し経った頃、天馬が合流した。全力で走ってきた様子で、肩で息をしている。一言断ってから彼は特訓に参加した。
以前よりは格段にタイミングが合っているが、完成には程遠い。私と剣城の疲労と、天馬の疲労が重なり、シュートを打つ度に徐々にその威力を失っていった。しかし、豪炎寺さんの的確な指示により完成形との隔たりは解消され、補正されていく。
窓のない特訓場では、時間の流れを感じることはできなかった。終わりの見えないゴールに直面し、当然精神的に追い詰められていく。しかし、その諦念は3人の助け合いを介して緩和されていった。
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充滞(プロフ) - 倉木 勝さん» わー！！とても嬉しいです。思わず悶えてしまいました。最初は自己満足のためにこの小説を書き始めたのですが、予想以上に他の方にも楽しんでもらえているようで何よりです。また、イナGOが多くの人に愛されているのは最高に嬉しいです。更新楽しく頑張ります。 (2020年8月22日 22時) (
レス) id: 9a1665b462 (このIDを非表示/違反報告)
倉木 勝(プロフ) - 本当に大好きな作品です。通知が届く度に嬉しくて幸せな気持ちになれます。更新頑張ってください、楽しみにしています！ (2020年8月22日 22時) (レス) id: 5a008c300c (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 幸さん» コメントありがとうございます。とても励みになります。今後も楽しんで頂けるように作品作りを続けたいです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 9a1665b462 (このIDを非表示/違反報告)
幸(プロフ) - いつも楽しくみてます。更新頑張ってください (2020年8月22日 0時) (レス) id: 0996b5f75f (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» ありがとうございます。イナクロ再履修が終わり、イナクロまでの構成が決まったらまた更新再開しようと思います。 (2020年8月7日 21時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年8月3日 10時
