363. やきもち ページ25
何度もシュートをして、何度も転倒する。バランスを崩して地面に叩きつけられることは当たり前のようにあった。ゴールポストで跳ね返った強いシュートが運悪く膝に当たったこともあった。着地に成功することは稀で、顔面から落ちたこともあった。しかし、痛みは感じない。痛みをも忘れるアドレナリンが大量に放出されているのだろう。
炎の勢いは確実に強まっている。回転数も上がっている。しかし、最後のタイミングのみが合わない。
数時間が経ち、街灯は既に点灯していた。正の走光性をもつ蛾が点の集まりのようにわらわらとその周りを飛んでいる。体力ももう限界だ。私たち3人は暗黙の了解で練習を終了した。
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木枯らし荘に戻り、秋さん手料理のロールキャベツを食べる。彼女は厚意で住民でない剣城にも夕食を提供してくれていた。キャベツの天然の甘さが束の間の幸せを脳に運び、肉汁の味わいが食欲を満たす。秋さんにおいしいですと伝えた後は無言で夕食を摂り、入浴を済ませ、天馬の部屋に帰る。しかし、驚くことにそこには二人の姿はなかった。私は勉強机の前にある回転椅子に座り、無断で近くにあったサッカールール本を手に取って読み始めた。ぶらぶらと足を動かしながら彼らの帰りを待つ。しーんとした夜の静けさだけがその場に漂っていた。
遅い。一時間は経っている。
もしかして、二人で練習に向かったのだろうか。それならいいが、事故に遭っていたりはしないだろうか。
腹を壊したとしても、二人同時にここまで帰りが遅いというのはおかしい。その時は違和感しか感じなかった。
「…探しに行くかぁ」
椅子をくるんと一回転させてから立ち上がる。無造作に置かれた天馬と剣城の鞄を後目に部屋を出る。電気を消すのは何だか恐怖感を助長するようで嫌になり、照明は点けたまま出た。
「ったく、もう10時なのに」
ぶつぶつと小言を言いながら暗い廊下を歩く。きっとこの時の私は疎外感を感じていた。ずっと3人で一緒に行動しようと提案したのは天馬だというのに、何を二人でこそこそとしているんだ。彼らが練習に励む様を想像したら嫉妬心がふつふつと湧いてくる。それなら最初から二人で練習すればいいのにとも思う。帰ってふて寝してやろうか。そんなことを思いつつ、案の定玄関にない二足の雷門シューズを見遣りながら玄関を出た。
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充滞(プロフ) - 倉木 勝さん» わー！！とても嬉しいです。思わず悶えてしまいました。最初は自己満足のためにこの小説を書き始めたのですが、予想以上に他の方にも楽しんでもらえているようで何よりです。また、イナGOが多くの人に愛されているのは最高に嬉しいです。更新楽しく頑張ります。 (2020年8月22日 22時) (
レス) id: 9a1665b462 (このIDを非表示/違反報告)
倉木 勝(プロフ) - 本当に大好きな作品です。通知が届く度に嬉しくて幸せな気持ちになれます。更新頑張ってください、楽しみにしています！ (2020年8月22日 22時) (レス) id: 5a008c300c (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 幸さん» コメントありがとうございます。とても励みになります。今後も楽しんで頂けるように作品作りを続けたいです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 9a1665b462 (このIDを非表示/違反報告)
幸(プロフ) - いつも楽しくみてます。更新頑張ってください (2020年8月22日 0時) (レス) id: 0996b5f75f (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» ありがとうございます。イナクロ再履修が終わり、イナクロまでの構成が決まったらまた更新再開しようと思います。 (2020年8月7日 21時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年8月3日 10時
