360. キャプテンマークの重み ページ22
今日は祝日で授業はないが、雷門サッカー部の練習は普段と変わらず行われた。連日行われる練習の主な目的は天馬のキャプテンとしての素質磨き。この部が神童さんという絶対的司令塔を失った今、誰もが納得できる後継者の天馬にその役割を任すしか道はなかった。それは誰の目にも明らかであった。
「ええと、霧野先輩は...浜野先輩にパスを！Aは一乃先輩のマーク！」
「松風。それじゃ左サイドがガラ空きだぞ」
「あっ...」
赤いキャプテンマークは黄色と青の中で目立つが、その存在感は薄れていた。神童さんが身につけていた時は何があっても適切な指示をしてくれるという安心感を得ていたが、今はそれがない。キャプテン任命から間もない現在、キャプテン未経験どころか周りを見ることを習慣にしていない天馬にとってはチームをまとめ上げることは困難極まりなかった。無謀な挑戦だと思う。実際、決勝戦では最後の最後まで周りを客観的に分析できていなかった。
だが、彼はまだ一年生だ。キャプテンの責任を問うには重すぎるだろう。
決勝戦に勝てた要因は後半の天馬の反省による気付きのみではない。雷門サッカー部全体の強い団結力と、革命を遂行させてやるという確固たる意志と、選手の個々の優れたポテンシャルと、地道に積み重ねた努力と、各々がしっかりと守っている役割分担と、共には戦えないが神童さんもメンバーに含めて優勝してみせるのだという願いと、聖帝こと豪炎寺さんの協力と、管理サッカーから開放されたいという根本的な悲願こそにある。
その他の要因を含んだ全てが複雑に絡み合い、革命という風をホーリーロード決勝戦に吹かせたのだ。この風あってこその優勝である。キャプテンとしての実力が不足していても、それを補完する要素が多くあったから結果的にサッカーの自由は守られたのだ。それを決して忘れてはいけない。
.
「...」
後ろから冷静に見ていたら判断できることも、天馬は軽くパニックを起こしていて判断できなくなっていた。フィールドに駆ける20人の動きを追うのは難しいことだが、常に動いているという訳でもない。全体的な観点で見られるようになれば、要所要所を見極められるようになる。だが、天馬は全体図ではなく部分的にしか物事を捉えられていなかった。
こればかりは本人の慣れに頼るしかない。場数を踏み、多くの例を学んでいくしかない。
私は彼の後ろ姿をただ見守っていた。
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充滞(プロフ) - 倉木 勝さん» わー！！とても嬉しいです。思わず悶えてしまいました。最初は自己満足のためにこの小説を書き始めたのですが、予想以上に他の方にも楽しんでもらえているようで何よりです。また、イナGOが多くの人に愛されているのは最高に嬉しいです。更新楽しく頑張ります。 (2020年8月22日 22時) (
レス) id: 9a1665b462 (このIDを非表示/違反報告)
倉木 勝(プロフ) - 本当に大好きな作品です。通知が届く度に嬉しくて幸せな気持ちになれます。更新頑張ってください、楽しみにしています！ (2020年8月22日 22時) (レス) id: 5a008c300c (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 幸さん» コメントありがとうございます。とても励みになります。今後も楽しんで頂けるように作品作りを続けたいです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 9a1665b462 (このIDを非表示/違反報告)
幸(プロフ) - いつも楽しくみてます。更新頑張ってください (2020年8月22日 0時) (レス) id: 0996b5f75f (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» ありがとうございます。イナクロ再履修が終わり、イナクロまでの構成が決まったらまた更新再開しようと思います。 (2020年8月7日 21時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年8月3日 10時
