35. 膝枕 ページ35
「い”っ」
鋭い痛みで目覚めた。何度もガン、ガン、と強い痛みが襲う。その痛みだけで意識をまた失いそうだった。
目の前にはフェイとワンダバ、そして優一さんがいた。私は驚いて頭の位置を変えたが、その違和感に気付き、周りを見回す。すると、右側上から天馬が覗き込んでいることにようやく気づき、よく状況を確認すると私はどうやら天馬の太腿に頭を置いて寝転んでいるらしいということを理解した。
「…？」
「身体はまだ痛い？」
フェイが尋ねる。私は寝転んだ体勢のまま、うんと答えた。ワンダバはそれを聞き、逆に安心した様子であった。
「痛みを感じられるということは、神経系が正常に機能しているということだ。着実に回復している」
「そうだね。
A、意識を失っている間、勝手に身体検査をさせてもらったよ。所々に内出血が見られたけど、著しい異常はなかった。見た目に反して、君は本当に強靭な肉体を持っているね。だけど、暫くは安静にしておいた方がいい」
フェイが身体検査の結果を説明する。私はそれをただ聞いていた。説明が終わると、優一さんが申し訳なさそうにこちらに話しかける。
「試合中は無理させちゃってごめんね。化身アームドを成功させるにはあのタイミングが絶好の機会だったんだ」
「いえ。寧ろ感謝しています」
優一さんの後押し、そしてワンダバの喝がなければ私は化身アームドを経験できなかった。折角の貴重な機会を逃すところだった。
会話が終わり、場は静粛に包まれる。明るい照明の中にはいるが、時計は夜の8時を指している。カーテンが閉められていて、外の景色は見られない。
「じゃあ、僕とワンダバ、優一さんは近くを歩いてくるよ。変化を確かめたいしね」
「わかった。いってらっしゃい」
「お大事に」
バタン、とドアが閉められる。再度静粛が訪れた。
私はごろんと頭の向きを変え、そして膝枕の主を見た。すると、天馬と目が合う。
「あの、天馬。これってどういう状況…？」
「？ 何が？」
「膝枕…」
「あ〜。試合中、俺の名前を呼びながら膝枕って連呼してたんでしょ。フェイから聞いて、した方がいいのかなって」
「なんかごめん」
「なんで謝るの？俺はいいよって言ったじゃん」
「はい...」
天馬の太腿は思ったより硬い。運動する男子なのだから当然か。
しかし、実際に膝枕をしてもらうとドキドキする。
多大な安心感。松風天馬に心を満たされている。
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充滞(プロフ) - 白菜さん» 解釈一致する点が多かったようで嬉しいです。なるべく公式に近い人物描写と環境を重視し、その上で程々のオリジナル要素を加えたいと思います。フェイくんは魅力的なキャラクターですよね。 (2020年10月7日 8時) (
レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - イナクロ編とても楽しみにしておりました！以前からずっと解釈や文章の表現、ストーリー展開がとても好みだったのですが、最推しフェイくんの解釈も一致していて思わずそれー！と頷いてしまいました。これからの展開も楽しみにしております。 (2020年10月7日 4時) (レス) id: e0c4cb74aa (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» 分かりましたぁ〜っ☆（すみませんふざけました） (2020年10月5日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 概要欄を書き消ししたため不要な通知がいったようです。お気になさらずー！ (2020年10月5日 23時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» あのっ…どうされました…？（通知だけ来て特に変わったところが見つけられないので困惑してる人の図です） (2020年10月5日 22時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年8月2日 12時
