32. 負から正への昇華 ページ32
「化身アームドをするには…」
一人で練習した時は、シュウの教えを思い出しながら行なった。
瞑想から入り、守りたいものを想いながら化身と一体化する。生きる風を感じ、その風を纏うように化身と心を通じ合わせる。
私の化身は、残花シエラザード。散り際の桜が命を消費して物語を語るような化身。美しく、そして儚い。私はこの化身に対してどう接していいのか、どう扱っていいか分からないでいる。あの化身は元々、元シードの私の化身であり、私の化身ではないのだから。
「天馬の膝枕…天馬の膝枕…」
この時、既に極限状態に突入していた。あまりの心身の疲れに脳が混乱していた。
今ならなんでもできるという謎の自信が湧く。やけくそな気持ちが脳を占める。いいよ。やってやるよ。できるか全く知らないけど、みんなからできるできると言われるのならやってやる。
脳内では天馬の太腿の図が現れている。柔らかい太腿。天馬の体温。天馬の優しげな表情。柔らかい声色。それはまるで女神のようだった。彼は私の救いの象徴であった。
天馬のためなら私は死ねる。そう誓った。
極限状態とは恐ろしいものである。こうでも考えないとすぐに倒れてしまいそうだった。
「Aちゃん！」
トン、と足に重みを感じる。私の足元には一つのサッカーボールが存在していた。パスを受けたのだ。優一さんは化身アームドの状態で私にボールを渡す。その瞬間に彼は化身アームドを解いた。おそらく力が切れたのだろう。
しかし、目の前には化身を纏ったアルファが突如現れる。無表情が接近してくる。光のない目が瞬時に襲いかかる。眩いオーラの光が視界を遮る。普通の光ではない、命の光と表現すべきだろうか。
「まだいたのか」
「ハッ、いて悪い？」
「イエス。お前はここで潰す」
「やれるもんならやってみろっての！！」
私は上空にボールと共に跳んだ。当然、アルファもそれを追う。その距離は極めて近かった。すぐに追いつかれる。その時、私はすぐに追いつかれた悔しさを消化するため唇を強く噛み、じわりと鉄の味を味わいながら目を見開いた。頭痛。腹痛。腰痛。吐き気。動悸。四肢の痺れ。苛々。不快感。本来負担となるそれら全てが原動力となった。
「残花シエラザード！！」
その時、化身は極めて自然に現れた。まるで現れるのが当然だと言わんばかりに、化身自ら出てきた。
「アームド！！！！」
叫びと共に出た波動はアルファとの距離を離した。
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充滞(プロフ) - 白菜さん» 解釈一致する点が多かったようで嬉しいです。なるべく公式に近い人物描写と環境を重視し、その上で程々のオリジナル要素を加えたいと思います。フェイくんは魅力的なキャラクターですよね。 (2020年10月7日 8時) (
レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - イナクロ編とても楽しみにしておりました！以前からずっと解釈や文章の表現、ストーリー展開がとても好みだったのですが、最推しフェイくんの解釈も一致していて思わずそれー！と頷いてしまいました。これからの展開も楽しみにしております。 (2020年10月7日 4時) (レス) id: e0c4cb74aa (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» 分かりましたぁ〜っ☆（すみませんふざけました） (2020年10月5日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 概要欄を書き消ししたため不要な通知がいったようです。お気になさらずー！ (2020年10月5日 23時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» あのっ…どうされました…？（通知だけ来て特に変わったところが見つけられないので困惑してる人の図です） (2020年10月5日 22時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年8月2日 12時
