29. 有害な存在 ページ29
その時、前方から凄まじい力を感じた。ハッとして前を向くと、アルファの前に円堂の姿があった。円堂の真後ろに私はいる。
「女の子一人虐めるなんて酷いだろ！」
アルファはシュート体勢。円堂はゴッドハンドを出している体勢。
私は唖然としていた。それはあまりに一瞬のことで、現実のスピードに理解が追いつかなかった。今、私はアルファにシュートを喰らう前だったのか。そして、それを円堂が防いでいるのか。
「ノー。これは排除するための合理的で最善の手段だ」
「何言ってるんだよ！サッカーで人を傷つけていい訳がないだろ！！」
円堂の声が夜のスタジアムに響き渡る。冷たく、しんとした空気の中でその衝突は継続して行われていた。私は腕を押さえながら、ただただそれを眺めることしかできなかった。途中でサッカーボールは全く違う方向に飛び、アルファと円堂の接戦は中断された。円堂はすぐさま私に声をかける。
「大丈夫か？えーと、A、だっけ？」
「ありがとう。大丈夫」
円堂守だ。正に彼だ。そう思った。
円堂守とはこのような人間だ、と実感した。彼らしさをまざまざと見せつけられた。
この時、円堂は「この世界での円堂監督」ではなく、「私にとっての円堂守」だった。元の世界からずっと認識している、円堂守そのものだ。だから、彼に対しては敬語を使わなかった。
「そっか。…お前、すげーな！あんだけやられたのにさ」
「なんとか」
「AA。お前はクロノストーン現象の被験者となった筈だ」
紫の髪は風の影響を受けないように揺れずに徐々にこちらに近づいてくる。円堂は私の前に立ち、両手を身体に平行になるように上げて私を庇った。
「さっきからお前の言ってることわかんないけど、もうやめようぜ。続けても意味ないだろ」
「円堂守。そこを退け」
その時、アルファの足元からボールを奪った者がいた。フェイだ。
「もうAを傷つけさせはしないよ」
「貴様…」
「Aはクロノストーンになったことがあるってことだね？」
「私はお前に聞いているのではない。AAに聞いている」
「フェイ。俺もうわかんないよ」
「つまり、Aは石にされたことがあるってことさ。身に覚えはある？A」
「え...全然ないけど」
「お前は有害な存在だ。消えてもらう」
彼はいつの間にか私の背後にいた。途端に背筋が凍る。その時、その背後の存在がふと消えた。
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充滞(プロフ) - 白菜さん» 解釈一致する点が多かったようで嬉しいです。なるべく公式に近い人物描写と環境を重視し、その上で程々のオリジナル要素を加えたいと思います。フェイくんは魅力的なキャラクターですよね。 (2020年10月7日 8時) (
レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - イナクロ編とても楽しみにしておりました！以前からずっと解釈や文章の表現、ストーリー展開がとても好みだったのですが、最推しフェイくんの解釈も一致していて思わずそれー！と頷いてしまいました。これからの展開も楽しみにしております。 (2020年10月7日 4時) (レス) id: e0c4cb74aa (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» 分かりましたぁ〜っ☆（すみませんふざけました） (2020年10月5日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 概要欄を書き消ししたため不要な通知がいったようです。お気になさらずー！ (2020年10月5日 23時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» あのっ…どうされました…？（通知だけ来て特に変わったところが見つけられないので困惑してる人の図です） (2020年10月5日 22時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年8月2日 12時
