18. ゼロ戦の真相 ページ18
その光景は驚くべきものだった。
私の化身・残花シエラザードの女性の姿が映り、そしてその化身の主である私は一瞬にして様子が一変した。白竜に対して臆していた目が、一気に挑戦的なものに変わる。立ち姿、振る舞い、表情、ボールの扱い。その全てが突然変わった。
前半戦は0-2。しかし、その場から打った化身シュートで1-2となり、試合再開後の私のセンターサークルからのシュートで2-2とすぐさま同点に持ち込んだ。
『 ねえ白竜。前みたいにセンターサークルからのシュート打ち合いしようよ。で、勝った方が勝ち。どう？ 』
『 …お前はAなのか？本当に… 』
『 試合が終わったら教えてあげる 』
彼女は明らかに別人だった。しかし、私と同じ顔と声をしていた。
「なにこれ..」
言葉を失う程、それは凄まじい光景だった。今まで苦戦していた全てがなかったと言わんばかりに、私と白竜だけで試合が成立するようになってしまった。天馬から見た視点での私の後ろ姿と、白竜の姿だけが映る。
『 受けて立とう 』
そこからは白竜と私の打ち合い。センターサークル内で全ての事が起こっていた。奪ったり奪われたり。それを明らかに両者は楽しんでいた。
.
「へえ…こんなことがあったんだね」
「中々はっちゃけてるな」
所々、雷門のメンバーやゼロのメンバーの表情が映り込む。その誰もが困惑していた。一体何が起こっているのかと呆然としている様子だった。
センターサークルから一歩も出ない白竜。そこから必殺技を打つ白竜。シュートが決まり、試合が再開すると京介からボールを受けた私がすぐさま必殺技を打ち、シュートが決まる。
雷門のキックオフの度に私の隣に立ち、静観している京介が映る。その目はどこか困惑しているようだった。だが、一貫して表情は変わらなかった。
時に白竜のシュートを私が止めたり、私のシュートが白竜に止められたりしていた。それはまるで猫のじゃれあいのようで、もはや試合ではなくお遊びのようなものだった。しかし、その威力の凄まじさのあまり誰も手出しできずにいた。
シュートを繰り出す度に地鳴りする。ドン、ドン、と地面が動く。
私は口をぽかんと開けてその様子を画面を通して眺めていた。
観客席はしんとしていた。両者監督も、審判も介入しなかった。
その場の誰もが固唾を飲んで、その二人を棒立ちになって眺めていた。
＿＿＿
※注釈
『』は回想
「」は現在 です。
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充滞(プロフ) - 白菜さん» 解釈一致する点が多かったようで嬉しいです。なるべく公式に近い人物描写と環境を重視し、その上で程々のオリジナル要素を加えたいと思います。フェイくんは魅力的なキャラクターですよね。 (2020年10月7日 8時) (
レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - イナクロ編とても楽しみにしておりました！以前からずっと解釈や文章の表現、ストーリー展開がとても好みだったのですが、最推しフェイくんの解釈も一致していて思わずそれー！と頷いてしまいました。これからの展開も楽しみにしております。 (2020年10月7日 4時) (レス) id: e0c4cb74aa (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» 分かりましたぁ〜っ☆（すみませんふざけました） (2020年10月5日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 概要欄を書き消ししたため不要な通知がいったようです。お気になさらずー！ (2020年10月5日 23時) (レス) id: ff878d9789 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» あのっ…どうされました…？（通知だけ来て特に変わったところが見つけられないので困惑してる人の図です） (2020年10月5日 22時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年8月2日 12時
