78. 矛盾理解の難しさ ページ42
「剣城優一が歩ける世界線」にいた神童さんや信助は、本流である「剣城優一が歩けない世界線」に戻った。しかし、そこには「剣城優一が歩けない世界線」にいる別の神童さんや信助がいる筈である。つまりは存在に矛盾が生じるのだ。
もう一つ疑問がある。
「剣城優一が歩けない世界線」つまり「剣城京介が雷門中サッカー部にいない世界線」にいた神童さんや信助は本来サッカー部に在籍する剣城京介を知らない。しかし、今の彼らは何故か知っている。つまりは記憶が本流の状態に戻っているのだ。その理由がわからない。
アルノ博士から帰ってきた回答はこうだった。
「さっき説明した多重時間理論のように、平行世界が収斂した結果じゃよ」
答えは極めて単純だった。しかし、瞬時にそれを素直に呑み込み、理解することはできなかった。すると、神童さんが単語の意味を聞いた。中学生には聞き慣れない言葉だろう。
「...収斂とは何ですか？」
「収束。つまり、多くのものが一つにまとまることじゃな」
神童さんにアルノ博士が説明を終えた後、私は彼に説明の追加を要求した。
「アルノ博士、もう少し詳しく説明してくれませんか」
「そうじゃな...」
「本来、時間を遡って過去や未来にタイムジャンプした場合、その時間には同一人物が二人いることになる。しかし、今回の場合は収斂の強さが極めて強く、強制的に全ての存在や記憶が本流に統合されたのじゃ」
「...？」
「矛盾する存在は強制的に一つに統合されたということじゃな」
「..な、なるほ、ど」
理論の跳躍を感じつつ、私はそれを受け止めるしかなかった。きっと専門家が言うならばそれが正しいのだろう。よくわからないけど。
「質問は以上かね？」
「あ、はい」
ありがとうございました、と言おうとした。だが、既にアルノ博士は忽然と消えていた。
「消えるのが早い...」
「そうだな」
ミーティングルームに私と神童さんだけが残されていた。私はその場で項垂れていた。
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ルナストーン(プロフ) - …っ！？（何が言いたいか:最初から照れさせる気だったんですかぁっ！？） (2020年10月12日 0時) (
レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 読者の方を照れさせるつもりで書いたので良かったですー！ハハ (2020年10月12日 0時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» ぁ…因みになんですが…消しても大丈夫です。僕は…。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» （［甘い戯れ］の後のやつの最後に向けてなのです）こちらも見ていて何故だか恥ずかしくなります。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» 見てみたいですね〜。いえいえ (2020年10月11日 22時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年10月10日 21時
