62. 可能性の議論 ページ25
意気消沈する者、心の整理ができず悩む者、悲しむも感情を切り替えて次の行動を大切にする者、唇を噛んで血が出る者。その4人と、表情を曇らせるフェイとワンダバがいた。沈黙を破ったのはフェイだった。
「まずは、試合お疲れ様。みんなよく全力で頑張ったね。
…さて、これからのことだけど」
フェイは続けた。ワンダバがちらちらと不安そうにフェイを見上げている。
「前に言った通り、定着した歴史を再度変更することは非常に難しいんだ。これは改変の定着作用で、この原理に抗うことは困難を極める」
知ってる。だから困っているんじゃないか。
私は苛立っていた。
自分の存在自体または自分の戦い方、または自分のコンディションが原因に間違いない。つまり、私がいたから雷門イレブンは負けたのだ。その罪悪感をどうやって昇華すればいいのかわからず、自分をなんとか正当化しようとするあまり、私は結果苛立っていた。
「このまま剣城京介がサッカーをしないパラレルワールドでエルドラドと戦うのも一つの道だ」
「剣城がサッカーができるようにはならないの？」
「あるにはあるけど、それは…」
フェイは言葉を詰まらせる。彼は何か考え込んだ後、別のなにかを思いついたような様子で話を続けた。
「確か剣城京介がサッカーをやめたのは、サッカー留学の話がきっかけだったよね。その時点に介入して、彼がサッカーを続けるように仕向けたらいいんだ」
「…京介は、絶対に自分の意志を曲げないと思う」
「そうかな。やってみないとわからないこともあると思うよ」
「……」
口を挟むと、フェイは冷静な物言いで反論した。私は口を噤む。
彼の言い分はポジティブで、私の言い分はネガティブだ。どちらが良いということはない。議論においては、様々な意見がある多様性こそが大切なのだ。
だが、ワンダバの指摘によってその選択決定は可能性を小さくした。
「だが、アーティファクトはどうするんだ？」
「それなんだよね〜。」
「このボールじゃダメなの？」
信助は剣城兄弟の使い込まれたサッカーボールを手に持つ。それは6年前の事故時点のアーティファクトだ。それ自体には存在の矛盾が生じていないため、まだ消えていない。
「...少し、調べてみようか。ワンダバ」
「うむ。一つの座標に限定されると決まったわけではないからな」
フェイとワンダバ二人はTMキャラバンへと向かった。ボロボロのユニフォームを着た私たちはその後を歩きながら追った。
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ルナストーン(プロフ) - …っ！？（何が言いたいか:最初から照れさせる気だったんですかぁっ！？） (2020年10月12日 0時) (
レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 読者の方を照れさせるつもりで書いたので良かったですー！ハハ (2020年10月12日 0時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» ぁ…因みになんですが…消しても大丈夫です。僕は…。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» （［甘い戯れ］の後のやつの最後に向けてなのです）こちらも見ていて何故だか恥ずかしくなります。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» 見てみたいですね〜。いえいえ (2020年10月11日 22時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年10月10日 21時
