56. 虚無に苛まれる ページ19
外に出ると、鮮明な光が身体を包んだ。吐き気を覚える程、それは明るく、物体をありありと映し出していて、美しくも醜くもあった。
明るいのを怖いと思う日がいつか来るなんて、可能性を考えたことすらなかった。
「よし揃ったね。じゃ、雷門中駐車場で皆を待とう」
「あっ...ユニフォーム忘れちゃった。取ってくる」
「まだ時間はあるし、急がなくていいよ天馬くん」
忘れ物をして焦りあがら急いで木枯らし荘に戻る天馬。TMキャラバンの前で立つ優一さんとフェイ、ワンダバ。そして、箒を持ちながら彼らを見守る秋さん。私は3人の隣に立ちながら、ぼうっと近くを眺めていた。
「...A、元気ないけど大丈夫？」
「えっ。...うん、大丈夫」
「顔色悪いよ」
フェイと優一さんにそう言われ、私は狼狽した。ただ何も問題はないとしか言えなかった。
「昨夜もすぐに自分の部屋に帰っちゃったし」
「疲れてたのかも。でも、大丈夫。ちゃんと寝たから」
「そう？ならいいけど」
フェイはこちらを心配している様子だったが、あっさりと追及を止めた。優一さんは使い込まれた古いサッカーボールを手にしながら、戻ってきた天馬を迎える。天馬は申し訳なさそうに走ってきた。
乗車し、秋さんに手を振り、浮遊する。宙を飛び、特徴的な雷門中校舎が見えた。
私はその光景の移り変わりを見て、頬杖をつきながら、ただ虚無の世界に入り浸っていた。
なんだか疲れた。なにもしていないのに、疲れた。
これから大切な任務があるというのに、ちゃんと向き合えない自分がいる。拒絶感だろうか。それは何に対して？
目的意識がないからだろうか。それとも、単に疲労が積み重なったからだろうか。
「...A、大丈夫？」
「ん？なにが」
「昨日から様子がおかしいよ」
「......みんな心配してくれてるけど、本当に私は大丈夫だよ。ありがとう」
「そっか」
様子がおかしい。そうなのか。私は客観的に見て、「様子がおかしい」のか。
そうか。そうなのか。
「天馬。夢日記ってつけたことある？」
「あ〜、小さい頃につけてたかな」
「そうなんだ」
「飽きてやめちゃったけど」
彼は過去を思い出しながら笑った。彼の笑顔を見ると、私もつられて笑った。
やっぱり天馬の、この笑顔が好きだ。
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ルナストーン(プロフ) - …っ！？（何が言いたいか:最初から照れさせる気だったんですかぁっ！？） (2020年10月12日 0時) (
レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 読者の方を照れさせるつもりで書いたので良かったですー！ハハ (2020年10月12日 0時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» ぁ…因みになんですが…消しても大丈夫です。僕は…。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» （［甘い戯れ］の後のやつの最後に向けてなのです）こちらも見ていて何故だか恥ずかしくなります。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» 見てみたいですね〜。いえいえ (2020年10月11日 22時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年10月10日 21時
