39. 人生の消滅を促す覚悟 ページ2
タイムブレスレット。それは、豪炎寺さんと優一さんがもつ機器だ。
好きな時間軸を行き来できる便利な腕時計。これは極めて貴重品であり、未来の人間でも基本持てないとされている。時空警察の断りなしに時空を超え、無闇に過去や未来の改変をすれば様々な不都合が起こるからだ。
送り主は支援者Xで、正体はフェイの父親であるアスレイ・ルーン。彼はフィフスセクターに莫大な資金を提供することで有望なサッカー選手を発掘するのを促し、SSCの発展を目指す者である。全ては自分の地位と、SSC遺伝子をもち差別されるフェイを守るため。つまりはエルドラドに対抗する人間だ。
「どんな機能があるんですか？」
「一部はロックされているから全部を見ることはできないんだけど、今できるのは支援者Xのメッセージを見ることと、指定した時間に行くことの2つかな。…といっても、今の時点から200年後以降は指定できないんだけどね」
「過去はいつの時代も指定できるんですか？」
「うん。色々と試したけど、今のところは全部行けたよ」
「そうなんですか」
彼は一人で様々な時代を渡り歩いたのか。そして、本来の時間軸である歩けない自分もその目で実際に見たのか。自分が本軸に生きる存在でないことも理解しているというのか。
私は語りかける。
「…いいじゃないですか。このままで」
「それは、どういうことかな」
「京介にサッカーを返したいという気持ちはよく分かります。でも、そうすると、今の優一さんが消えてしまうんですよ。歩ける自分を生かす道があってもいい筈です」
「…うん。君の言う通りだ。だけど、俺はいいんだ」
彼は足を組み換えた。
「俺は京介の代わりにサッカー留学に行かせてもらえたし、雷門の一員となることもできた。良い後輩にも恵まれたし、この足で不自由なく生活できた」
優一さんは話を続ける。どんどんと早口になっていく。そして、途中でその早さを落とした。
「だから、いいんだ。既にこれ以上にない経験をさせてもらえた。そろそろ京介にサッカーを返さなきゃ」
「優一さん...」
とても複雑な気持ちになった。
なんで彼はこんなに強いのだろう。なんでこんなに自分を押し殺せるのだろう。なんでこんなに苦しみながら、嬉しそうなんだろう。
「俺はやるよ」
ただ彼は、覚悟を込めた言葉を言い放った。その裏には恐れも含まれていた。
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ルナストーン(プロフ) - …っ！？（何が言いたいか:最初から照れさせる気だったんですかぁっ！？） (2020年10月12日 0時) (
レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 読者の方を照れさせるつもりで書いたので良かったですー！ハハ (2020年10月12日 0時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» ぁ…因みになんですが…消しても大丈夫です。僕は…。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» （［甘い戯れ］の後のやつの最後に向けてなのです）こちらも見ていて何故だか恥ずかしくなります。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» 見てみたいですね〜。いえいえ (2020年10月11日 22時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年10月10日 21時
