１７６：この状況は、一体 ページ26
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その日は、少しだけお出掛けをしていた。マンションを出たのは、夕方が間近に迫った時間だった。
ここ最近は課題と勉強に追われ、語学堂での授業以外はほぼ外出をしていなかった。息抜きをしようと足が外へ向かったのは、ごく自然のことのように思う。
「 遅くなっちゃった… 」
街中をブラブラ歩くだけのつもりだったのに、見つけたカフェやお店に入っていると、いつの間にか17時を過ぎていた。お腹も空いたしちょうど良い時間だったからと、目に入ったうどん屋さんで晩ごはんを食べたのもあって、帰路に就いた頃には19時前だった。
夏とはいえ、夜が近付いた空には白い月と、疎らに星も瞬いていた。今日は確かに天気の良い日だった。マンションを出た頃は暑過ぎて溶けてしまうかと思ったけれど、今は風も吹いてちょっとだけ涼しく感じる。
マンションに着いたは良いものの、エントランス前のドアで私は足を止めてしまった。
ふわふわとした黒髪、伸びた前髪から覗く長い睫毛、高い鼻、白い半袖のシャツから出ている逞しい腕、組まれた大きな手と長い指………何度も見たそれらは、何度も私をドキドキさせる。
ドアの前の階段に腰を下ろし、俯いているけれど、間違えるわけがない。今、私の目の前にいる人は、間違いなく……。
「 ……ウォヌ、オッパ…？」
少し小さな声だったけれど、それでも、目の前のウォヌオッパには届いたらしい。顔を上げ目が合った彼は、今まで見たことのない表情を浮かべていた。焦燥と安堵が混ざっているような。
その表情に戸惑っている中、オッパは腰を上げたかと思うと、私達の間にあった距離を一気に詰めてきた。彼の爽やかな香りが鼻腔を擽ったのも束の間、……気付けば私は、その逞しい腕の中にいた。
オッパに抱き締められている。頭でその状況を理解するのには、時間が必要だった。当然だ。こうして彼の腕に包まれるのは、初めてのことなのだから。
決して柔らかくはないオッパの身体付きが、いやでもよくわかる。彼の息遣いが、伝わってくる。彼の香りが、先ほどよりも近くにある。
「 ……オッパ…？」
なんとか絞り出した私の声は、情けないことに掠れていた。
W『 ………会いたかった 』
大好きな、オッパの低くて優しい声。それが、耳元で響いた。私の脳内はもうキャパオーバー寸前で、何も考えられなかった。
「 ……え… 」
会いたかった…？オッパが…？私に…？
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１７７：彼はどう思うんだろう→←１７５：小さくて大きな願い（JN）
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アオコ(プロフ) - 千笑さん» コメントありがとうございます！もう文面から作品を楽しんで頂けたのかなっていうのが伝わってきてそれだけで私は幸せです…！私も10時10分に返信すれば良かったって今後悔してます笑（TMI！！） (2021年8月28日 21時) (
レス) id: 5d8cfe873d (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - 全く関係ないんですが、今書いてる時間が10時10分で運命感じてます笑笑 (2021年8月27日 10時) (レス) id: 14dbb1d17f (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - 前作も合わせて、とても素敵な物語でした!私はずっとウォヌ派でした（笑）。前作のホシさん存在と、星に願う。と言うタイトルをかけたのかなあって思ってましたが、予想は外れてました（笑笑）。楽しかったです!ありがとうございます！ (2021年8月27日 10時) (レス) id: 14dbb1d17f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオコ | 作成日時：2021年1月24日 20時
