156:何を言い出すかと思えば…! ページ6
.
W『 …うん 』
「 …良かったら、その……機嫌を直してもらえないかなあ、って… 」
そう切り出すと、ウォヌ先輩がこちらへ振り向いた。カフェを出て初めて、彼と目が合う。唐突に向けられた視線に戸惑い なんですか…?と聞いた声は、とても小さかった。
W『 ……機嫌、直してほしい?』
何をそんな当たり前なことを… と思いつつ もちろんです…!と食い気味に頷く。
W『 …じゃ、俺の機嫌が直る方法、教えてあげる 』
不機嫌な人がこんな楽しそうな笑顔浮かべて提案してくるもの…?もしかして、今までの全部、この流れに持ってく為の演技だったりする…?
目の前でにこにこと笑う先輩は、やっぱり掴めない人だ。困惑しながらも じゃあ、お願いします… ととりあえず聞いてみる。
W『 …誕生日だしさ、俺の言うこと、なんでも聞いてくれる?』
「 ……まあ、叶えられる範囲なら… 」
W『 難しいことじゃないからそんな身構えないでよ(笑) 』
「 …いや、先輩何言い出すかわかんないですし… 」
先輩は小さく声を出して笑うと、
W『 ……俺のこと、オッパって呼んでよ、これからは 』
そう言った。すぐには言意が理解できなくて、返事が出来なかった。だけど段々頭の中で言葉が組み立てられ、意味が流れ込んできた。
全てがわかった途端 はあ?!と出た声は大きすぎて、一瞬自分のものとは思えなかった。
「 …えっ、ちょっと先輩、何言ってるんですか…?」
W『 ん?聞き取れなかった?……だから、俺のことオッパって呼んでって言ったんだけど 』
「 …聞き取れましたし意味もわかりましたってば…!」
W『 じゃあ呼んでみてよ 』
せーの なんて先輩は言うけれど、ほんとうに冗談じゃない。そんなこと、出来るわけない。
ジュニオッパのことをそう呼ぶだけでも苦労したのに、先輩……好きな人のことを オッパ だなんて、軽々しく呼べない。呼べるわけないよ。
「 ………無理です…!先輩は先輩で良いじゃないですか…!今までそうだったんですし、これからも…!」
W『 ……誕生日なんだし、俺の言うことなんでも聞いてくれるんじゃないの?』
「 …叶えられる範囲ならって言いましたよね…?!」
W『 ………叶えられない範囲なの?これは 』
首を傾げる先輩に 当たり前じゃないですか…!と大きく頷いてみせる。私はソラのように、彼のことを オッパ とは呼べない。ドキドキするし、恥ずかしいし……。
.
157:慣れないことは突然するものじゃない→←155:そんなわかりやすく拗ねなくても
821人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオコ(プロフ) - 千笑さん» コメントありがとうございます!もう文面から作品を楽しんで頂けたのかなっていうのが伝わってきてそれだけで私は幸せです…!私も10時10分に返信すれば良かったって今後悔してます笑(TMI!!) (2021年8月28日 21時) (レス) id: 5d8cfe873d (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - 全く関係ないんですが、今書いてる時間が10時10分で運命感じてます笑笑 (2021年8月27日 10時) (レス) id: 14dbb1d17f (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - 前作も合わせて、とても素敵な物語でした!私はずっとウォヌ派でした(笑)。前作のホシさん存在と、星に願う。と言うタイトルをかけたのかなあって思ってましたが、予想は外れてました(笑笑)。楽しかったです!ありがとうございます! (2021年8月27日 10時) (レス) id: 14dbb1d17f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アオコ | 作成日時:2021年1月24日 20時