失礼、その子俺の。【及川徹】 (ページ11)

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看病です。ページ11

「あーえー君の恋人は今日熱やでー」
　土曜の練習試合にも誘ったけど、Aちゃんは＿＿俺の彼女は予定があるとかで来てくれなかった。
　歯がゆい思いでスパイクサーブを岩ちゃんに当てて、半ごろしにされ。
　今日は会える！とワクワクハッスルしながら学校へ来たのに。
「なんでだよ東雲っ」
「東雲に当たるなボゲ」
　頭を岩ちゃんにはたかれ、呻く。
「A、『迷惑かけるかも、ごめん』て言ってた。･･････てか及川には連絡行ってなかったん？」
「･･････あ」
　まず、だ。
　迷惑かけるかもごめん？いい子すぎるんだよ。いつか騙されんぞ。
(ま、その前に俺が跳ね除けるけどね☆)
　俺の彼女めっちゃ可愛い。ってずっと悶えてたい、などと、俺に宛てられたものである前提で思う。
　そして。
「LINE交換してなかったぁぁー！！」
「アホやん」
「ただの馬鹿だな」
　酷いこと言われてるけど。てかクラスメートがめっちゃ冷やかしてくるけど。
「来たら絶対LINE交換しよう･･････！」
　東雲が半目で「付き合う前にやってる時もあんのに」と呟く。そして賛同する岩ちゃん。
　･･････絶対岩ちゃん東雲のこと好きやん。
　干渉とかはしないけど。
　SHRで、先生に「及川、大丈夫か？愛しのAがいないじゃん？」と心配された。
　そんなん言うんだったら帰らせろや。
　化学の時間、技術の時間、数学の時間、ぼーっとしたまま時間だけが過ぎていく。小テストとか気にもしてない。というか、いつもならない。
　あー、と気づく。
　いつ間にか、俺、めっちゃAちゃんのこと好きになってる。
　女子がうるさくて、どうにかしたい。それだけの理由で、クラスのみんなに一目置かれているAちゃんに告白して。で、オッケーされた。
　最初は(何こいつ、大人っし)とか思ったけど、俺は意外とAちゃんみたいな丁寧な人、好きで。今まで見たことない彼女のタイプだって、純粋に興味を持った。
　でも、
　＿＿いつの間にか彼女を好きになってた自分がいた。
　それを【Aちゃん襲われかけ事件】で自覚して、それから最大限可愛がって。
　･･････でも、そういやAちゃん、全く対応変わんないかも？
「ねえ、東雲」
「んー？」
　昼休み、東雲に聞いてみる。
「Aちゃんて、俺のこと好き？」
「･･････えぇ〜」
　東雲はうんざりとした顔で言った。
「今日部活ないっしょ？行ってみれば？家」
　あ、その手があったか。