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一緒に立ち上がろうとしたが、足がすくんで動けない。そしたら「 大丈夫？」と同じ目線まで屈んでくれた。
はっきりと自分でも聞き取れる心臓の音が苦しくて、歪みそうな顔を隠すように下を向いた。
『 ……なんで来るの… 』
『 …なんでわかんの……！！ 』
酷く震えた声だった。胸板を叩こうとしたらその手は呆気なく掴まれて、ぎゅっと優しく包み込むように握られた。 いつもと違い、それに悪寒を感じることはなく、逆に熱くなってくる。
「 西野さんが大好きだから 」
想像していたようで、予想外な言葉に喉を詰まらせた。困らせないで、苦しくさせないで、優しくしないで、何度もぐるぐると色んな気持ちが回る。
「 一目会ったときから今日まで、
西野さんのことがずっと頭から離れない。 」
「 好きだけじゃだめなことくらいわかってるのに、抑えよう、抑えようとしてるのに、気づいたらAちゃんのことを考える… 」
「 本当に好きで、大好きでたまらない。 」
地面に雫が落ちた。じわり、と滲むと、また違う場所にもどんどん落ちていく。止まることを知らないそれを閉じ込めるように、無理やり振りほどいた手を顔に覆った。
『 住む世界が違う 』
「 …………わかってる 」
『 忘れて欲しい 』
「 嫌だ 」
2つ目の返事は即答だった。ずるい、本当に
ゆっくりと引き寄せられ、腕の中に入った。
優しく背中を叩かれると、だんだん心がスッと軽くなって、流れていたものが止まった。
『 …… 』
「 …… 」
見ないようにしてた前を向くと、目が合った。慌てて逸らそうとしたら、顔が近づいてきて唇が触れた。一旦離れると、また強引に近づいて、…
電車のアナウンスが聞こえると、お互いすぐに立ち上がった。なんか力が出ない、空っぽ、心も、体も、頭も。
ただ繋がれてる手に、
ただ前を向いてる隣を、
私は見つめることしかできなかった。
「 A…？ 」
扉が開いた瞬間、聞こえた声に心臓が止まったかと思った。一度ぎゅっと目を閉じて、自分の足元を見て、そして前を向いた。
『 ……ななちゃん 』
ドアが閉まります、というアナウンスが聞こえると、ななちゃんは私の腕を引っ張った。空っぽだったものが一気に全部戻ってきた。
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＊hana＊(プロフ) - いろんな曲の歌詞をうまく使われていて世界観に引き込まれました！ (2018年11月18日 12時) (
レス) id: 063790d3e6 (このIDを非表示/違反報告)
s!ma(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました、描写が独特・言い回しが独特でハマって抜け出せなくなりました。表現力に惚れました！のみこまれます。続きも楽しみにしています。 (2018年11月17日 20時) (レス) id: 457760168e (このIDを非表示/違反報告)
ルート(プロフ) - うわぁぁぁぁぁぁ！！！！途中読んでいて涙が出て来ました…良い意味で鳥肌が立ちました。続きを楽しみに待っています！！語彙力がなくて上手く気持ちを伝えることができないのが本当に残念です…笑 (2018年11月17日 7時) (レス) id: e7cea7fca8 (このIDを非表示/違反報告)
さかなちゃん(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました。続きを楽しみにしています。 (2018年11月16日 23時) (レス) id: 6abe047d30 (このIDを非表示/違反報告)
toshimitutetuya(プロフ) - 展開がハラハラして面白い！ (2018年11月16日 0時) (レス) id: e5d647a456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空海
| 作成日時：2018年10月28日 15時
