大人になれないあなたと私

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退院の手続きを終え、マネージャーの車に乗ると、私はふみちゃんから来たLINEに書いてあった居酒屋に行った。


「 酔っ払ってコケるなよ？ 」

『 わあっとるって 』

退院祝い、と今年の撮影を終わったから忘年会だという今回の集いは、行くか迷ったけどマネージャーが気分転換に行ってこいと勧めてくれた。 あと、たまにはムロさん以外とご飯食べろって、確かに。


車を降りると、マネージャーに助手席に乗せた松葉杖を渡された。骨は折れてないけど。
めんどくさいなぁという気持ちが顔に出てたのか、マネージャーは はぁ、とため息をついた。


「 帰り、ケンケンしながら歩くのか？ 」

『 貰いま〜す 』

「 よろしい 」


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店に入ると此方です、と奥の個室に誘導された。居酒屋って言うけどめっちゃ高級店やないかーい


二「 A〜！久しぶり！ 」

『 ふみちゃ〜〜ん！ 』

すでに出来上がってるふみちゃんに抱きつくと、「 大丈夫だったかぁ？ 」と頭をよしよしと撫でられた。ていうかふみちゃんお酒飲めないんじゃ……


山「 なんかたまには飲むって言いだして… 」

『 ああ… 』


「 退院おめでとう 」という山崎さんにお礼を言って、私は適当に空いてる場所に腰掛けた。大好きな日本酒を頼み、目の前に置かれてる色とりどりの食事に手をつけた。


だんだんワイワイと騒がしくなってきて、お店の人に怒られないかな、とちらちらと入り口を見てしまう。

「 今日貸切だから大丈夫だよ 」
そう言ってぽん、と肩を叩かれた。


『 吉沢さん… 』

「 退院おめでとう！ 」


ビール瓶を持った吉沢さんは
私の横に胡座をかいて座った。

目の前にある日本酒の瓶をみた吉沢さんは私に「 意外と飲兵衛なんだ 」と言ってふにゃふにゃ力なく笑う。

うわーーー！酔っ払ってる！！！
レアだ、いっつもモアイみたいに笑わないのに、口元が緩みまくってるー！！！



『 ふふ、 』

なんだかおかしくて、肩を震わせながら笑った。それをみた吉沢さんは「 なにわらってんの？ 」とひらがな喋りで私より笑う。


『 酔っ払ってますよね？ 』

「 よってないよ 」

『 いや酔ってる、目がとろーんってしてる 』

「 よってない！ 」



まだ飲もうとビール瓶を傾ける吉沢さんに、『 飲み過ぎですよ 』とその手を抑えた。
すると、ぴたっとその動作は止まった。

意外と聞き入るタイプなんだ、と抑えていた手を離すと、吉沢さんが私を見ていることに気づいた。





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