大人になれないあなたと私

○ ページ15

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『 も、もしもし 』

「 ごめん、ふみちゃんしばらくかかりそう 」

『 そっか 』

「 明日ライブ、だよね 」

『 そう、2日間 』


『 なんか緊張してきた 』と言って笑うと、
向こうの声が聞こえなくなった。
切れた？と思って1度耳から離すも、通話時間はどんどんカウントされていた。



『 もしもし？ 』



「 何かあった？ 」




『 …なんで？ 』

「 なんか笑い方が無理してたから… 」


胸がどんどんアツくなっていく。


『 そんなに笑い方下手くそ？ 』


込み上げていたものがどんどん溢れてきて、目の前がボヤける。それのせいで声が潤んできた。






『 帰りたい 』







感情が堰を切って漏れ出した。
拭っても拭っても止まらなくて、『 明日ライブなのに… 』とため息をついた。






「 俺も帰りたい 」




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『 まだ撮影かかるんですか？ 』


既に真っ赤になった鼻をすすって、そう問うと「 そうなんだよ〜〜 」と眠たそうな声が聞こえた。ていうか絶対今あくびした。



「 あ、ふみちゃん終わったみたい 」


「 次、俺のシーンだ 」という吉沢さんに
『 頑張ってくださいね 』と声をかける。
これから次のシーンって長くなりそうだな、なんて余計なことを思いながら。



「 じゃあ、 」

『 また現場で 』







「 あ 」

『 ん？ 』




「 西野さんは十分すぎるほど頑張ってるからもっと自信持ちなよ。 」


「 俺みたいに 」





そう言われて電話が切れた。
切れた……切れた！？



『 向こうだって自信無いくせに 』


いっつも本番ギリギリまですり減るくらい台本読んでるの知ってるんだから…



でもモヤモヤしてたものが無くなって心が解けて、気持ちがスッキリした。自分の頬に手をやると、口元がへにょへにょと緩んでた。




『 ありがとう 』





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その後すぐにふみちゃんから折り返しの電話がきた。吉沢さんが間違えて電話を切ったことを伝えると、ふみちゃんと一緒に笑った。




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