狼くんには可愛い彼女がいるそうで【フォーエイト】

じゅーきゅー ページ19

Amika side


狼の頭のどこかでプツンと何かが切れた音がした気がする。

さっきまでは頬は引き付きながらも、ちゃんと笑顔だった。人並みの。

しかし、今はイケメンなのが勿体ないくらい顔を顰めてる。


･･････きっとあみかが言われたからなってるんやろうけど。



『芋臭い？ブサイク？特大ブーメランすぎて笑えるんだけど』

「･･･え？」

「な、なに言ってるの･･･？」



突然の事で理解すらも出来てないらしいナンパ女達。

久しぶりに聞いた狼の口悪は結構精神的にくるものがありそう。



『俺、言ったじゃん。彼女いますって、なのにお前ら離れねーしさぁ？挙げ句人の彼女ブサイクだぁ？鏡見てから言えよ。てかその顔面で良く俺にナンパ出来たね？』



イケメンしか許されないであろう、言葉をツラツラ並べる狼。

彼女達の腕を回す力が緩くなったのか、思いっきり腕を振りほどきながら。


『肌荒れやべぇーし、髪も全然手入れされてなさそうだし、香水で鼻まがりそうだし、服のセンスも悪いし、てか押し付けるほど胸もねーのにアピってんじゃねーよ、気持ち悪ぃ』

「なっ･･･！何言ってくれっちゃってんの？！」

「そーよ！非常識すｇ･･･『あ゛？』


いつもはくりくりで可愛い瞳も細められて、心地よく響くテノールの声も今は封印らしい。

起こった狼は怖いもんな〜なんて呑気な事を考えていると、グイッといきなり腕を引っ張られた。


んんん･･･？？？？

いきなり目の前に広がる狼の引き締まった体と、ほんのり香るいつもはしないムスク系の香水に顔に熱が集まるのを感じる。


な、なんでこんな状況になっとるん･･･？？

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