晶哉くんはペットじゃない。 (ページ15)

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your said

高校1年の冬、お母さんのお葬式の日。

「A〜、大きなったな〜」

こんな日まで、酒の匂いさせて、ベタベタと触ってくる男。
そんな男の血が私にも流れてると思うと、寒気がする。

「お父さんやめて」

小学生の時、父の会社が倒産。
比較的裕福な方だった私の生活は、一気にどん底に落ちた。

それからお酒に溺れた父は、酔っ払っては母や私に手を上げた。

母がパートで働きに出てる中、他の女の人と蒸発し、父は消えた。

慰謝料も、養育費も、この男から貰えなかったけど、
日々の罵声や暴力から解放されたのがなによりの救いだった。

お母さんのお見舞いにも、１回も来なかったくせに。
良くこんな所に顔出せるね。

私が睨むと、

「その目、母さんにそっくりやな」

ガバガバと笑い声が静かな部屋に響く。

叔父さんが、そんな父を連れて外に行ったあと

「大丈夫か？」

その声の先には末澤誠也が立ってた。

その頃は喋っても、挨拶程度の先輩。

それに当時学校では頑張っちゃってた末澤誠也の、髪をセットせず、制服も着崩してない姿が見慣れなくて

「先輩いつもと全然違うやん、笑」

思わず笑ってしまった。

「いや、なんで笑うねん」

私の肩をバシッと、もちろん優しく叩く。

「痛いし…」

「そんな強く叩いてへんわ！」

そう言って、バシッ
「また叩いたーーー」

末澤誠也のお陰で、私は
とりあえず自分の足で立っていられた。