【鬼滅の刃】煉獄杏寿郎さん、こちらに来ちゃいました

参拾玖 ページ40

しっかり私の目を見つめる煉獄さん。


心なしか瞳には困惑が拡がっている。






「え、ええ。大丈夫です、問題ありません。」






私のせいでこうなってしまったわけなのだし、ダメとか言える立場じゃないよね。


寧ろ、煉獄さんを野宿させなくてよかった気持ちの方が大きい。






「…そうか。君は男とふたり同じ部屋で寝泊まりしても、何も感じない と？」


「え、」






え、え、煉獄さん怒ってる…？





考えたのも束の間。煉獄さんは瞬時に私の手ごと押し、見事ドアを開ける。






なんで開け方わかったの！？教えてないよ私！










そのまま手を引かれ、いきなり変わった視点。





うん、煉獄さんがよく見えるなぁ……じゃなくて！








私は煉獄さんに押し倒されたのだ。


思いっきりやられたせいで、ベッドが勢いよく弾み 軋む音がする。



投げ捨てられたカードキーは、スローモーションで落ちていくように見えた。









「れ、煉獄さん…？」





そっと声をかけたが、黙ってこちらを見つめたまま動かない彼。

赤から橙色の綺麗な双眸は、真っ直ぐ私の瞳を捉えて離さない。







「…君は、こんなことをされても何ともないと？
こんなの大したことないと、そう思っているのか？」






怒ってる、この声のトーンは怒っている時だ。


あの騒動のとは違う、別のタイプの深さを含めた低音。
明らかにこの間よりも それが露になっている。








「黙っているということは 肯定と受け取っていいのだな。

…なら容赦しない。」








私が何も言えないでいると、自己完結してしまった煉獄さん。





いや、違うんです！そういうことではなくて！





心の中では叫べても、それが声にはならない。

想像以上にこの状況に 驚いてしまっている私の身体。







「ちょ…！」






やっと声が出た！と思えば、
彼の柔らかい髪が、何故か私の真横にある。




ヒタリ と感じる生温かい感覚。






「ん、！」






…しまった！声が出てしまった。



初めて聞くいつものものとは違う自分の声に、羞恥で顔が真っ赤になっていくのがわかる。









「……こんな声、煽っているのか。」


「いや、そうじゃ…ふ、んっ…！」






息が首筋にかかり、かなりくすぐったい。



やめて、お願いだからそこで話さないで…！








「一度痛い目を見た方がいいな、君は。」






「……、え？」

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