参拾参 ページ34
煉獄side
笑ってくれた彼女を見て、俺は少し安堵した。
…昨日は本当に間に合ってよかった。
少女の友人から聞き駆けつけてる間もずっと焦っていた。
こんなに焦るのは母上が亡くなった以来かもしれない。
目の前で接吻をされていたのを見た瞬間、俺は迷わずその男を吹っ飛ばしていた。
彼女の瞳には恐怖が浮かび上がっており、怒りの余り冷静な自分がだんだんと いなくなっていくのがわかった。
俺が圧をかけているのに 逃げもしない男には心底腹が立った。
"俺がいただく"だと?ふざけるのも大概にしろ。
こんなに怖がらせておいてよくそんな言葉が言える。
彼女に近づくとき、震えているのがわかった。
自分だとわからせた途端 涙を流す姿を見て、駆けつけるのが遅くなった自分が許せなかった。
抱き上げれば軽く、すぐにでも折れそうな細い身体。
そこで知った。俺のことをここまで世話してくれた 彼女は、こんなにも儚い存在だと。
翌朝風呂場から音が聞こえ、少女が目が覚めたのだと少し安心した。
上がってきた彼女に話しかけようと 部屋から出たが、そこで俺は一度固まる。
いつも俺に屈託の無い笑みを向けているその顔は、色を失い、瞳からは光が消えていた。
不安を感じた。今にでも彼女が崩れてしまうのでは無いかと。
すぐにいつも通り声をかければ、小さく俺の名を呼ぶ。お風呂上がり いつも下ろしている綺麗な髪は、濡れたままで滴が落ちていた。
あまりの変わりように、気がつけば俺は彼女の世話をすると叫んでいた。
驚いた少女を他所に早速始める。
わはは!どらいやーとやらの使い方を学んでいて正解だったな!!
髪を整えている間、少しだけ緩んでくれた顔を見て 安堵する。
彼女が動かない間に慣れない台所で ほっとみるくを作る。
作っているところを見たことがあるから簡単に作れると思ったが、どうやらそうもいかないらしい。
なんだ、これは!…むっ!泡が溢れるでは無いか!!
失敗もしたが 後片付けまで高速で済ませ彼女の元へ持っていくと、俺が作ったことに驚きを表した。
少女が台所に目を向けていたのは 見なかったことにしよう…
手の擦り傷も気づかれてしまった、不甲斐ない!
外で飲もうと誘えば 立ち上がった彼女だが、昨日の感覚がその瞬間自身に戻り彼女の肩を支えていた。
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☆未来音★(プロフ) - 憐さん» 感想ありがとうございます。同じ煉獄さん好きとして、そのようなコメント嬉しいです*なかなか更新が難しいですが、これからもよろしくお願いします。 (2020年6月25日 19時) (レス) id: 6b00124018 (このIDを非表示/違反報告)
☆未来音★(プロフ) - けいさん» コメントありがとうございます。一言ですが、とても伝わってきます。もっとその気持ちが強くなるよう、がんばって更新していきますね。今後もよろしくお願いします。 (2020年6月25日 19時) (レス) id: 6b00124018 (このIDを非表示/違反報告)
☆未来音★(プロフ) - アリスさん» 感想ありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。ゆっくりですががんばらせていただくので、これからもよろしくお願いします。 (2020年6月25日 19時) (レス) id: 6b00124018 (このIDを非表示/違反報告)
憐 - とても素晴らしい夢小説を、ありがとうございます!煉獄さんは大好きなので、とても嬉しいです!どうかご無理をなさらず、更新を頑張ってください。応援しております! (2020年6月21日 18時) (レス) id: 56a87d2e69 (このIDを非表示/違反報告)
けい - うまく言葉に出来ないので一言。 好きです (2020年6月11日 12時) (レス) id: c43b0ed0fe (このIDを非表示/違反報告)
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