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story4 ページ7

天龍人は、消えた。

正確にいうと、元の世界に戻した。

「無」は干渉してしまった。

平等でなくてはならないという、掟を破ってしまった。

目線を落とす。

長い黒い爪のある真っ白な手がギュっと握られていて少し震えている。

_____________???

手??

『…………………え。』

え??声??

そう、「無」は憎いと思ったもの全てを消してしまったのだ。

だから、天龍人は元の世界へ消えていった。

そして、姿がなく非力な自身も消えた。

ならば、やることはただ1つ。

『掟を破ったことに対しての償いを。』

力はまだ少し残っていた。

愛しい子ども達の傷を癒し、辛かったであろう天龍人に関する記憶と、自身に関する記憶を全て消し去り、"新たな記憶"と入れ替えた。

壊された街も元の状態に修復した。

そして、ある場所_____太陽と月の光が丁度交差するところに向かった。

着くと、そこに向かってエネルギーを流す。

純黒のオーラが渦巻く。

一瞬にして、宮殿が出来上がった。

内装も完璧だ。

宮殿のなかに入り玉座の前に膝間付くと、何かを唱えた。

すると、玉座に黒い毛並みの狼が現れた。

『君は僕の化身だ。僕はこれから罪を償わなくてはならない。何十億年もの月日をかけてね。それまでこの世界を守ってほしい。』

狼「…わかった。俺はこれからどうすればいい?」

『力の全てを君に預ける。僕が帰ってくるまでね。その力を正しい人物に少し分けてやってくれ。そうしたら、その力はどんどん受け継がれていく。』

狼「お前の力を分けるということは、そいつがこの世界を統治するのか?」

『そういうこと。でも、この力はとても強大だからその人物に全て分けることは出来ない。耐えきれなくて壊れてしまう。だから、本当の意味での統治は出来ない。』

狼「その人物というのはどうやって探しだすんだ?」

『オーラだ。金と銀のオーラ。そのどちらかのオーラをもって生まれた者だ。』

狼「多数いた場合は?」

『輝きの度合いで。……僕にはあまり時間がないみたいだ。他に質問は??』

狼「お前はどうやって帰ってくるんだ?」

『何度も転生を繰り返して。ただし、六道は通らずにね。だから姿はこのまま変わらないよ。あと、1つ君に言っておかなくちゃならないことがあった。』

狼「なんだ?」

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作者名:むぅしん | 作成日時:2020年8月8日 9時

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