鳳の蝶は落ちた

片羽*＊ ページ5

A視点

『虫の呼吸 肆の型 蚯蚓(きゅういん)！！』

お前だけは許さない！よくも…よくも…

「おっと！吸収している最中に斬りかからないでおくれよ」

こいつにだけはどうしようもない程の
怒り
恨み
憎しみ
が覆いかぶさってくる。

ごめんごめんね。雅

落ち着こうとしふと周りを見ると…
冬華さんが気絶していて
雅の字で

“吸うな” “感謝” “ごめん”

と単語で書いていた。
きっと死際に書いてくれたであろう文字を目に
涙は止まることを知らない

『虫の呼吸っ 捌の型 桑子(くわこ)』

「危ないなぁ。俺は童磨。柱の気配がするねぇ」

『私は胡蝶カナヨ。神塚Aでもあり、胡蝶カナエ、胡蝶しのぶの妹であり梅水雅の姉だ！！』

「えー。さっきの子と血縁には見えないけど…」

血を被った様な頭。対の扇。
間違いない。こいつが友人の敵(かたき)

「君も辛いことがあったんだろう？話して…

『虫の呼吸 弐の型 蜩(ひぐらし)』

「よっと……君、前にあった花の呼吸を使う剣士に似てるね！ほら雰囲気とか！」

私は『はぁ？』って思ったけど、

こいつが述べる見た目。
桃色の瞳。
蝶の髪飾り。
蝶の羽織。
それを聞いた瞬間、怒りでさらに感情が満ちた


こいつは私から雅を奪っただけで
なかった…

『姉さんまで…よくもっ』

「あの子君の姉なんだ。姉と友人が死んでしまって悲しいんだろう？俺も友人が死んだら悲しいからねぇ。友人なら俺の中で永遠に生き続けるんだ！」


…こいつ見て聞いてわかった。
全く思ってもいない言葉
虚偽ばかりの言葉


『貴方、感情がないんでしょう？』

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